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- 馬時京風(ばじきょうふう)
- 馬時京風 池江さん第3回
氏名:池江 敏行(いけえ としゆき) 職業:調教助手(高野厩舎所属) 1962年生、叔父である池江泰郎調教師の開業時から定年退職解散まで調教助手として所属、メジロマックイーン・ディープインパクトなど数々の名馬の調教を担当。今現在は、栗東高野厩舎所属の調教助手。 著書に「真相~ディープインパクトデビューから引退まで今だから言えること」がある。 |
「理想の競走馬」
- 前回に続き、又ディープインパクトの話題になってしまいますが…
- 今回は、ディープインパクトの性質の話です。
調教助手という仕事を長い間勤めてきましたが、彼程走る事にたいして無邪気な馬は今までいなかったような気がします!!
ハードな調教又は競馬の回数を重ねていけば当然のように馬達は苦しがってきて無駄な体力を使い、走る事に集中出来なくなり精神的に病み、やがて走りたくないという気持ちが強くなって競走成績に直接影響し出世出来なかった…
なんて、競走馬はたくさんいると思います。 - がしかし、僕が今まで調教に関わってきた数々の名馬達の中でも、ディープインパクトだけはホントに走る事が大好きで、競馬でも調教でも、とにかくコースに入れば走りたくて仕方ないんだなって感じの馬でした。
- 僕が毎日調教していくなかで、教えていきたい課題があったとしても、教えている事を素早く理解し、そして素直に吸収し、そしてそれを実現の方向へと自ら働きかけてくれる頭の良さ!!
調教や競馬を何度も経験していくうちに、苦しがる事なく彼自身が速く走る事を自分なりに学習し更に楽しんで走れるようになっていったのでは…という僕の勝手なイメージですが、そんな気がしてなりませんでした。
常に僕達ホースマンが求めている理想の競走馬、それがディープインパクトだったのではと思います。 - 理想の競走馬とは、人にたいして従順で素直で教えたい事を素早く理解し、そして素早く吸収できる頭の柔らかさを持っており、なおかつ競走能力が格段飛び抜けている馬で、その競走能力を本番で発揮出来るメンタル的な強さ、それから絶対に必要な事、それは強靭な馬体を持ち健康である事など、理想の競走馬を語ればきりがなく、しつこいようだがディープインパクト彼が、皆が求めている競走馬又はサラブレッドではなかったのかと今でも思っています!!
調教助手という仕事を後何年続けられるか分からないですが、続けていく以上は難しいながらもディープインパクトのような理想の競走馬を作り上げていき、そして又再びディープインパクトのような理想の競走馬に出会いたいと思っています。 - さて、今更ではありますが先日の菊花賞、ディープインパクトの三冠からわずか6年で7頭目の三冠馬が誕生しました!!
オルフェーヴルの調教師は、従兄弟の池江泰寿調教師で、お父様は僕も長い間お世話になった、皆さんご存知のディープインパクトの池江泰郎調教師!!
勿論親子調教師での三冠制覇は、今までに例がなくとんでもない記録が生まれたのだと驚きです!!
それと同時に、呆れる程に強かったオルフェーヴル! - 勿論、一度も騎乗した事はないオルフェーヴルですが、この素晴らしい三冠馬も絶対に理想の競走馬である事に間違いないと思います!!
- 次週は、現所属の高野厩舎について、たっぷりとお話しましょう。お楽しみに!!