- ホーム >
- コラム・ブログ >
- 馬時京風（ばじきょうふう）
- 馬時京風 竹之上さん第4回
 |
|
|---|---|
 |
氏名：竹之上 次男（たけのうえ つぐお） 職業：実況アナウンサー 兵庫県競馬（園田競馬場・姫路競馬場）の実況アナウンサーとして活躍中。本業の競馬実況に加えＪＲＡの競馬場でのイベントや催しにも積極的に出演し、その軽妙な話術で、地方・中央の垣根を越え、広く競馬や競馬全般に関する啓蒙活動を積極的に行なっている。 |
「将来の夢」
- あるタレント事務所のアナウンススクールに通っていたころ、ラジオ番組のオーディションで、「将来、何になりたいか」と質問を受けたことがありました。ぼくは少し思いを巡らしてから、「馬主になりたいです」と答えていました。質問した面接官はポカンとした表情。そらそうでしょう。おそらく面接する側としては、将来どんなアナウンサーかタレントで、どうのような活躍をしたいかを訊いていたのでしょうけど、それを馬主って答えが返って来たのですから、理解に苦しむところだったでしょう。
- ぼく自身、そのころから競馬の仕事がしたいという気持ちは常に持っていました。ですからそのことを言えば良かったんですが、「将来」って訊かれてそれから先のことを考えてしまったように思います。
競馬の仕事をして、活躍をして、ものすごく稼いで、そして馬主に。若気のいたりであります…。 
競馬の実況をして１３年。実はいまでも馬主になりたいと思い続けているんです。競馬の仕事をしている人は、いつかは馬主として競走馬をデビューさせたいと思っていると、ぼくは考えているんですが、そうじゃないんでしょうか？
その昔、ファミコンで流行った競走馬育成ゲームで馬主気分を味わった人は、実際の馬を持ってみたいと思うでしょうし、ゲームから競馬に興味を抱いた人などは、馬主こそが競馬の醍醐味と感じていてもおかしくありません。
しかし、誰もがご存じのように、馬主には簡単になれるものではありません。一口馬主というのもありますが、やはりできればひとりで競走馬を所有してみたいと思うのです。あくまで夢ですから、そうでありたいと思うのです。- 仮に馬主になったとします。仮定させてください。そうなると、デビューする馬に名前を付けなければなりません。もちろんそれまでに馬を購入しなければならないのですが、ここではもうデビューということにさせてください。せっかくの愛馬、馬名にはこだわって名付けたい。ゲームでもこだわりは強い方でした。それでも、そんな馬ほど走らず、テキトーに名付けた馬が走ったものですが…。
- 以前、兵庫県競馬で馬名を一般公募したことがありました。そのときに付けられた馬名が「エンゲルフリュー」という馬名。「舞い降りた天使」という意味で、英語表記では「The angel who frew down」、文字数の関係上「エンゲルフリュー」とされました。非常に美しい響きで、思い入れを感じさせてくれます。残念ながら、園田では勝てずに２戦をしただけで他地区に移籍してしまいましたが、心に残る馬名のひとつです。
- ぼくにも思いを込めて付けたい馬名があります。できることなら、デビューさせる馬には勝ってほしい。さらには勝ち続けて欲しい。そうなるような馬名にしたい。ぼくは大の相撲好き。相撲にちなんだ馬名にしよう！「ヨコヅナ」ってのはあまりにも安易すぎる。「ユウショウ」ってのも相撲だけじゃない。「マクノウチサイコウユウショウ」は文字数無視しすぎ。はてさてどうしたものか…。
- １８世紀のイギリスに「ポテイトーズ」という馬がいたそうです。本来は「Ｐｏｔａｔｏ(ジャガイモ) 」の意味だったそうですが、厩務員が「Pot」の先の正しい綴りを知らなかったため、そのあと「ｏ」を８つ続けて書いた「Ｐｏｔｏｏｏｏｏｏｏｏ」(ポットエイトオーズ)がそのまま馬名になったとか。面白い、これや！ 「ｏ」を相撲の白星に見立てて１５個並べる。するとこういう英語表記「ｏｏｏｏｏｏｏｏｏｏｏｏｏｏｏ」になる。白星が１５個で１５戦全勝。横綱でもなかなか成しえない誰もが憧れる金字塔。もちろん馬の世界で１５戦全勝となれば、名馬中の名馬で間違いないところ。 問題は読み方です。「フィフティーンオーズ」と読みます。これダメなんです。１０文字で、１文字オーバーなんです。だから「フィフティーノーズ」と発音していただいて書かせてもらいます。決して「５０の鼻」でありません。
- 今後まだまだ頑張らなくてはならない４１歳ですから、とにかく仕事を頑張ります。そしていつの日か、自分の思いを乗せた競走馬を世に送り出したいと思っています。それがぼくの密かに抱いている叶わぬかも知れない夢です。
- ４週間、竹之上次男にお付き合いくださいましてありがとうございます。来月は、井上オークスさんの登場です。競馬界に“舞い降りた天使”と言われているかどうかはわかりませんが、筆の運びは“男前”ですので、どうぞご堪能ください。
- 竹之上次男
