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わたしの勝利

第2回加藤誠さん

メジロマックイーンの父子天皇賞制覇のかかった1991年4月28日の春の天皇賞が私の初めて観戦した競馬でした。最終コーナーから美しい姿で疾走する馬と怒涛の歓声が眼前のゴールまで一体となる中、強い馬の圧倒的迫力で私は競馬に魅せられました。
競馬を通じて、オーナーブリーダーとして御活躍の前田幸治様に公私にわたりお世話になるようになり、馬主登録の際も大八木信行会長とともに親身なご指導を頂きました。馬主としての薫陶は諸先輩方の一挙手一投足から多くを学ぶことと思っております。

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ヴォトレメイヤー号 口取り写真

私に初勝利をもたらした「ヴォトレメイヤー号」はBarretts March Saleで中竹和也調教師の相馬眼によって購買した2頭目のアメリカ産馬でした。米国から送って頂いたスナップ写真を毎日毎日眺めておりました。家族の中では「メイ君」と愛称も決まり、来日後は鳥取の大山ヒルズで大切に調教されて、順調に成長しました。名付け親である妻と向かった初対面は夢が膨らむ一時でした。栗東入厩後、坂路調教で好タイムを刻んでいました。しかし調教だけ走る競走馬もいると知っておりましたので半信半疑でデビュー戦の観戦に向かいました。期待が儚く裏切られることも覚悟しながら、胸が詰まるような心境の中、レースはあっと言う間に終わります。結果は2着と立派なものでした。

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第6回京都競馬第1日第1競走(2010年11月6日)、ヴォトレメイヤー号

駆け出しの馬主にとって、続く2戦目はデビュー戦がフロックで凡走に終わるのではなかいと2度目の疑心暗鬼にとりつかれることになります。単勝1.6倍の人気も今まで馬券で散々裏切られてきた経験が愛馬への信頼をも損ねる始末です。ところが、彼はそんな馬主応援団の小心をよそに4馬身差の圧勝を遂げました。「よっしゃ!」と普段の生活の中では味わうことのない高揚感に包まれ、久しぶりに家内と握手して喜びを共にすることができました。勝利の日は2010年11月6日で私どもの結婚記念日にあたり、愛馬「メイ君」は家族として祝福してくれました。翌月12月19日には2勝目をあげ、順調に成績を伸ばす孝行息子ですが、一人でも多くの競馬ファンに愛され応援される存在になって欲しいと願っています。そして20年前の私がそうであったように、競馬に魅せられ一人でも競馬ファンが増えればこれも馬主として大きな喜びです。

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