初勝利、喜びもひとしおです。
私にとって忘れられない勝利は、ゼットチャンプの初勝利。平成22年4月10日の阪神競馬第4競走、1,800mのダートです。
父親が長く馬主をやっていた関係で、競馬との関わりは古いです。まだ中央競馬になる前、昭和26、7年、小学校の3、4年くらいから競馬場にはよく連れていってもらいました。その父もこの2月、100歳で天寿を全うしましたけれど、ここ10年くらい前からは僕が父親の代わりに牧場へ行ったり、調教師さんと育成場をまわったりしていました。
そんなことで、父親の馬で口取りしたことは何度もあるんですが、今回は自分の馬での初勝利なんで、喜びもひとしおです。馬主となって5年目。父が亡くなってすぐの勝利でしょう、何かあるんですかねえ。
勝った瞬間、スッと体の力が抜けたような
だいたい後ろからいく馬なんですけど、3コーナーあたりから徐々に上ってきて、吉田稔騎手が外からうまいこと、まくってくれました。クビの差でした。
馬主席で、まさに手に汗にぎって見てたんです。ゴール前は、立ち上がって大きな声が出ました。まわりの方が「林さん、勝ったよ!」と言ってくれて、何か体の力がスッと抜けたような、そんな感覚を思い出します。家内は「大きな声で恥ずかしい」といって、離れていましたけどね(笑)。
厩務員の方に連れられて、ウイナーズサークルへ行きました。天気もよくて、気分もよくて。ファンの方からの「おめでとう」という声援が嬉しかったです。「おばちゃん!」って声もかかって「誰かな」と思ったら、家内の甥が偶然来ていたんです。口取りの写真を撮るときは馬主になってよかったとつくづく感じる瞬間でした。
この馬は当歳で買った馬なんです。夏に牧場に行くたびに見ていたし、ひとつずつステップ踏んで6戦目で勝ちあがってくれたんで、とても愛着があります。欲を言えば、どんどん大きなレースで勝ってもらいたいです(笑)。
自分の馬が走るときは、できるだけ競馬場へ足を運ぶようにしています。新聞に「しるし」がなくても行く。だって馬も一生懸命走ってくれているんですよ、申し訳ないですよ。だから最近、土日はあまりゴルフの約束もしません(笑)。