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わたしの勝利

第6回八木良司さん

平成元年の馬主資格取得以来、二十余年の馬主キャリアの中、最も心に残る愛馬は、やはりタガノテイオーでしょうか。 東京スポーツ杯3歳ステークスを制したテイオーは私の最初の重賞勝ち馬となったのですが、なによりこの馬を忘れがたいものにしているのは、朝日杯3歳ステークスでの敗戦です。
1番人気に推されたテイオーは最後の直線半ばで左後肢に故障を発生、それでも止まることなくゴールまで完走し2着を死守したものの、レース後に予後不良と診断され短い生涯を終えました。
このときの無念と、同時に抱いたこの馬の高い能力と類まれなる闘争心への畏怖の念は今も胸に焼き付いております。

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テイオーのひとつ年下世代となるタガノマイバッハも、私の所有馬を代表する1頭になってくれました。
マイバッハは4歳の年明けに本格化すると1000万下から準オープン、中京記念(GⅢ)、大阪杯(GⅡ)と4連勝し、私にとって初のGⅡ制覇となりました。
ただ、このマイバッハも続く天皇賞・春では強豪たちの壁に跳ね返され、GⅠ馬の称号を得るのは簡単なことではないと思い知らされたものです。

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「わたしの勝利」というコラムタイトルではありますが、私の場合、テイオーやマイバッハの「敗北」、頂点を目前にした「挫折」こそが競走馬を走らせ続ける情熱の原点であり、この両馬の存在がこの頃より私の中に芽生えていた生産・調教に対する興味を一層かき立て、数年後の新冠タガノファーム、宇治田原優駿ステーブル両牧場設立に向けて私の背中を押してくれたことは間違いありません。

現在、新冠タガノファームを拠点とした年間約30頭規模の生産馬に加え、戦力強化と繁殖牝馬の血統更新のために毎年数頭を購入し、これらを宇治田原優駿ステーブルで調教するというスタイルで強い馬作りに励んでおります。

馬産も調教育成も苦労の繰り返しであり試行錯誤の毎日ではありますが、次こそは自らの生産馬を自らの調教場でトレーニングし、重賞制覇、それもできれば『GⅠ』タイトルを獲得したいものと夢見ております。

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