現場取材とは? ありがとうございました。
コロナでトレセンや競馬場で直接取材ができない期間があった約2年半。
このブログのタイトルを「はい!現場の大恵です」としているように、これまでは現場での取材や生の声を聞くことに最も重きを置いてきました。
それが叶わぬようになり、「現場取材って何だろう?」と考える時間でもあったように思います。
自分では実感はないのですが、仕事仲間からは
「コロナ前と比べていい方向に文章と取材内容が変わった」
と。
これ、実感がないあたりがちょっと怖かったりもするのですが、退化していないのであればよかった、と胸をなでおろしています。
2018年8月からスタートした当ブログも5年のうち過半数の期間は現場取材ができなかったため
時にこのタイトルにしてしまったことを悔やみましたが、お世話になった関係者のみなさま、読者のみなさま、ありがとうございました。
今回をもって当ブログは終了となります。
またどこかでお会いしましょう。
言葉が陳腐になる時
イクイノックス、強かったですね。
ホント、どう表現したらいいか。
ニュートラルに前目のポジションを取れるので内で包まれる心配もないし
今回のような大逃げがあっても、自分で動いていける。
もちろん道中は掛からないし、直線での脚は言うまでもなく。
言葉にすればするほど、自分の表現が陳腐に思えてしまう強さでした。
当日の夜はYouTubeで高知競馬の生配信をしていたのですが
チャット欄には
「いま東京競馬場から帰ってきました」
「府中で号泣してきました」
といったコメントが何件も。
そのたった一行からも、どれだけ素晴らしいレースかが伝わってきました。
人間の当日輸送
冬時間のいま、栗東トレセンは馬場開場が7時と遅くなっています。
大阪からは始発に乗ればギリギリ間に合うような時間帯。
それゆえ、自宅から当日輸送の記者さんもごく少数ながら中にはいて、私も以前は当日輸送していました。
ただ、そうすると起床時間は3時台。
「最近疲れが取れなくて、その時間に起きれる自信がないので前泊しています」
と、かつての当日輸送仲間に話すと
「逆算して20時や21時頃に寝ないといけないけど、その時間帯はちょうど眠くなりづらいってテレビで言ってました」
とのこと。
当日輸送組は寝不足やむなし、です。
「その代わり、最近はしっかり湯船に浸かるようにしていて、そしたらいくらか足の疲れが楽です」
と同じ記者さん。
いまも当日輸送を続けるうえでの工夫だそうです。
トレセンでは4〜5時間の取材時間中に1万歩ほど歩きますから、足のケアは大切です。
私も取材靴にはNew Balanceの中敷を入れています。
さて、そんな会話を交わしながらスタートした今朝の栗東トレセンは、朝一番から牝馬三冠馬リバティアイランドの最終追い切りが行われました。
世界ナンバーワンホースと牝馬三冠馬の対決がいよいよ迫っています。
JBC独特の高揚感
JBCが終わりました。
JBCレディスクラシックでは再来年2月に定年を控えた河内洋調教師がアイコンテーラーでGI/JpnI初制覇を果たし
JBCスプリントでは地方競馬の園田・姫路所属のイグナイターが勝って大金星、
JBCクラシックは3連勝でキグズソードが勝ち、こちらも管理する寺島良調教師はGI/JpnI初制覇を果たしました。
おめでたいことづくめだった今年のJBC。
イグナイターが優勝レイをかけた姿を見て号泣し、キングズソードが外から脚を伸ばしてきた時には私の目の前で撮影していたヒダカ・ブリーダーズ・ユニオンの係の方に
「交わせるんじゃないですか!?勝てそうですよ!」
と言いながら背中をペチペチ叩いていました。
ダート競馬の祭典と銘打っているだけあって、1日に複数のGI/JpnIがあって気分は高揚しました。
表彰式での生産者インタビューもJBCならではで、誕生する前から見守ってきた生産者の思いが伝わってきました。
一方で、落馬や、レース中に進路が狭くなり急ブレーキをかけざるを得ない馬もいました。
時速50~60kmで走るレース中はわずかなアクシデントさえ大怪我につながりかねません。
アクシデントのあった馬たちが無事で、あるいは軽傷であることを願います。
さぁ、来年のJBCはいよいよ初開催の佐賀競馬場です。
いまから楽しみです。
天皇賞・秋から今後狙いたい馬
天皇賞・秋のイクイノックスの走り、圧巻でした。
レコードを大幅更新しての勝利もそうだったのですが
前半1000m57秒7のハイペースを3番手でついていき、さらに上がり34秒2の脚を使うのですから、驚異的です。
2着ジャスティンパレス、3着プログノーシスは道中で最後方と後方2番手を追走した馬。
本来なら、大きなリードを作って直線を迎えるはずだったジャックドールもこれだけアッサリついてこられて交わされてしまうと、11着に沈むのも致し方ないように思います。
むしろ、勝ちに行っての結果でしょう。
そして、2番手で運んだガイアフォースが直線半ばまで粘っての5着。
1勝クラスを勝った時がハイペースを2番手から抜け出す競馬をしており、良馬場で速い時計決着向きの馬ではありますが、それにしてもこのメンバーでこの内容の5着は改めて強さを感じさせられました。
馬場や時計の出方次第など条件が付くかもしれませんが、次走以降狙いたい1頭です。
心の余裕とリスペクト
いよいよ注目の天皇賞・秋が迫ってきました。
世界ランキング1位のイクイノックス
同期のダービー馬ドウデュース
2000m巧者ジャックドール
未完の大器プログノーシス
さらにさらに・・・!
と挙げたらキリがないほどの豪華メンバーです。
メディアではイクイノックス・ドウデュース陣営の対談を進行したり
ジャスティンパレス・ガイアフォースの杉山調教師にインタビューしたり
福永祐一調教師に有力馬分析していただく動画のMCをしたり
本当に色々と天皇賞・秋に際して携わらせていただいたのですが
全然馬券の買い目が決まりません。
上記以外にもプログノーシスやジャックドールは今年に入ってから単独インタビューもしているにもかかわらず
最内枠の岩田康誠騎手という理由だけで、取材したことのないノースブリッジの複勝かワイドに突っ込もうか・・・なんて考え始めています。
そのくらい、豪華メンバーすぎて目移りしています。
そうした中、取材を通して感じたのはドウデュース担当の前川調教助手の心の余裕と
イクイノックス担当の楠調教助手、調教担当の阿部調教助手の相手をリスペクトする懐の深さ。
ドウデュースの前川調教助手は角居厩舎時代にトールポピー・アヴェンチュラ姉妹など多くの活躍馬を担当されてきた方。
だからこそ、GIでも気負い過ぎることなく、それが馬にもいい作用をもたらすのでしょう。
今日、東京競馬場に到着した時にはイクイノックスのジャージを来て馬運車からドウデュースを下ろしていて「さすがだな」と感じました。
それに対し、イクイノックスに携わる2名は「前川さんの余裕がすごい」と称しますが
相手をリスペクトする懐の深さはこのお二方は素晴らしいと感じました。
ましてや、世界ランキング1位の馬に携わってらっしゃるのです。
この謙虚さが、さらなる向上心を生んでいるのかな、なんて感じたりもしました。
さあ、天皇賞・秋当日はライトウインズりんくうに隣接する商業施設で予想会とパブリックビューイングです。
会場にいらっしゃる方は一緒に馬券を悩みながら楽しみましょう!
三冠最終戦は名勝負
秋華賞、菊花賞と京都競馬場で名勝負が続いています。
秋華賞は戦前、牝馬三冠馬の誕生にワクワクしていて
内回りコースの芝2000mゆえ、リバティアイランドはある程度前目のポジションを取るだろうなとは思っていたのですが、まさかの4コーナー先頭。
強気に早めにあのタイミングで動いていけるなんて、ビックリです。
リバティアイランドの強さと、それを信じる川田将雅騎手だからこそできたレースぶりだったのでしょうね。
そして、菊花賞は2周目向正面で逃げ馬がかなり外を走るいびつな展開ながら
勝ったドゥレッツァは自分のペースを崩さず走り続けました。
レース前は「静かな、優しい騎乗をしたかった」と考えていたルメール騎手が
好スタートを切ったことで、逃げへとプランを瞬時に切り替えたとのこと。
臨機応変さと、思い切った決断が導いた勝利はすごいなあ、のひと言でした。
さて、今週は天皇賞・秋。
世界ランキング1位のイクイノックス、札幌記念で強い勝ち方をしたプログノーシス
ダービー馬ドウデュース、大阪杯勝ちジャックドールなど豪華メンバーが揃いました。
今週もたくさん取材をさせていただきました。
その話はまた改めて。
ジョッキーベイビーズ
今日(日付変わって昨日)はジョッキーベイビーズの決勝戦が東京競馬場で行われました。
注目は川田将雅騎手の息子さん・純煌選手の出場。
期待に応えて見事優勝し、優勝インタビューでは川田騎手も一緒に笑顔で答えるシーンも印象的でした。
さて、このジョッキーベイビーズ決勝戦出場者からはこれまで多くの騎手が誕生しています。
たとえば、優勝者で言うと
2012年優勝 小林勝太騎手(美浦、2023年デビュー)
2013年優勝 斎藤新騎手(栗東、2019年デビュー)
2014年優勝 角田大和騎手(栗東、2021年デビュー)
惜しくも優勝できなかった選手からも木幡巧也騎手や
競馬学校中退後にカナダに渡り、日本人初のエクリプス賞最優秀見習騎手賞を受賞するなど活躍する木村和士騎手
同じく北米で活躍の福元大輔騎手
また、地方競馬では重賞勝ちもある永井孝典騎手(園田・姫路)などが競馬界で活躍しています。
出場資格は小学4年生から中学1年生。
小林勝太騎手は小学4年生での優勝だったため、のちに優勝した斎藤騎手や角田騎手よりあとの騎手デビューとなっています。
小学4年生で出場すれば最短で9年後に、中学1年生でも最短で6年後での騎手デビュー。
競走馬が現役を引退して種牡馬や繁殖牝馬になってから産駒デビューまでの4年より長いスパンですから
忘れないようにしっかり記憶に焼き付けておかないと、と思いますが
今日の川田純煌選手の素晴らしい騎乗、そして力強い言葉は深く印象に残り続けそうです。
若手だからこそ
減量特典のつく若手騎手がJRA・地方から集う「ヤングジョッキーズシリーズ」。
数カ月かけて全国各地の地方競馬場で予選にあたる「トライアルラウンド」が行われ、上位4名が12月の川崎競馬場と中山競馬場で行われるファイナルラウンドに進出できます。
トライアルラウンドは東日本と西日本で分けられているのですが、今週火曜日に東日本のトライアルラウンドがすべて終了。
東日本6場で行われるトライアルラウンドでは毎回全騎手が騎乗するわけではなく、各自2~3場での騎乗となっています。
そのため、東日本トライアルラウンド最終戦となった船橋競馬場では、自分は騎乗していなくて他の騎手の結果待ち、という騎手も。
野畑凌騎手はちょうど船橋の他のレースに騎乗があって競馬場にいたため、ハラハラドキドキしながら他騎手の結果を確認していました。
地方競馬の騎手にとってはJRAで騎乗できる貴重な機会。
これを逃すと、次は馬と一緒にJRA遠征か、リーディングジョッキーになってワールドオールスタージョッキーズに出場か、というさらに高いハードルが待ち受けています。
少し話は逸れますが、JRA賞新人賞を受賞してから、もう一度JRA賞授賞式の舞台に立つまでが大変、という話をJRA騎手がたびたび口にしますが、それに似たものを感じます。
若手騎手だからこそ与えられる機会。
西日本のトライアルラウンドは10月11日の笠松競馬場がラストです。
若いっていいな
先週は2000勝以上を挙げたベテランが集う「ゴールデンジョッキーカップ」
今日は減量ジョッキーである若手たちによる「ヤングジョッキーズシリーズ」の取材でした。
ゴールデンとヤング、ものすごくギャップがあって、その雰囲気の違いも楽しいなと感じます。
ゴールデンジョッキーたちは勝負の世界に20年以上身を置き、トップクラスの成績を残してきた人たちばかり。
レース前はピリッとした雰囲気がありながらも、順位が確定する頃には
「いやあ、あの人はジョッキーレースのポイントの稼ぎ方がうまいよね」と称えたり
「え!そっちは●ポイントしかなの?(笑)。そういえば、ゴールして振り返ったらいつも後ろにいた(苦笑)」
と長年一緒に戦ってきた同士だからこそイジり合ったり、和やかな雰囲気。
対してヤングジョッキーはレース前から盛り上がることが多々。
そこはやはり若者のノリだな、と思います。
私自身が一般人であるがゆえ、ついその常識の範囲内で彼らを測ろうとしてしまうのですが
若いうちはあらゆることで型にハマらず、飛び出しているくらいの方がきっと大成するんだろうなあ
と思いつつ、叔母さんになった気持ちで見つめています。
そのあたりは人生経験豊富な読者の皆様の方がよくご存知だと思うので、お知恵を拝借したいです。
あとやあっぱり思うのは、「若いっていいな」(笑)。
みんなホント「いま」が楽しそうで、生き生きとしています。
ヤングジョッキーズシリーズは佳境にさしかかり、12月のファイナルラウンドに進出できるメンバーがだいぶ見えてきました。
若いうちしか出場できないこのシリーズも、全力で楽しんんでほしいなあと思います。