先週の小倉2歳ステークスはアスクワンタイムの見事な差し切り勝ちでした。
今年の夏の小倉開催は1開催4週のみでしたが、最終週となる先週は外が伸びる馬場。
それを追い風に後方から一気に差したのがアスクワンタイムだったのですが、レース前の陣営は「まだまだ伸びしろがたっぷりあって、ちょっとゆっくりなタイプかな」と話す中での重賞制覇でした。
それだけポテンシャルの高さと、この兄弟を大切にしてきた梅田智之厩舎の思いが結実した結果だったと言えるでしょう。
「この兄弟」というのは、全兄ファンタジスト(2018年小倉2歳S)、ボンボヤージ(2022年北九州記念)などのこと。
小倉芝1200mの重賞にとても強い血統で、かつ兄弟のほとんどは梅田厩舎に預託されています。
ファンタジストは19年京阪杯のレース中に急性心不全で倒れ、その衝撃と悲しみを覚えている方もいらっしゃることでしょう。
梅田厩舎の方々、特に担当厩務員や調教に乗っていた方々は深い悲しみに包まれていたのですが、
そんな時、入厩してきたのがファンタジストにそっくりな性格を持ったアスクワンタイムだったのでした。
奇しくも、ファンタジストが初勝利を挙げたのと同じ日と同じコースで初勝利を挙げ、重賞初制覇のレースまで同じになりました。
大切な家族や大好きだった競走馬が亡くなった時、「夢でもいいから会いたい」と願ったことが何度かあります。
梅田厩舎にやってきたアスクワンタイムは陣営にとってそんな思いも叶えてくれたことでしょう。
それだけでなく、兄とは違った面も見せたり、末脚が武器だったり、彼なりの良さも併せ持ち、新たな物語を紡いでいこうとしています。