ついに、日本馬がブリーダーズカップを制覇しました!
ブリーダーズカップフィリー&メアターフをラヴズオンリーユーが勝ち
すごい!すごい!!
と思っていたところ
ブリーダーズカップディスタフもマルシュロレーヌが制覇。
多くの騎手や調教師が「勝ちたいレース」「憧れのレース」
と話すブリーダーズカップ。
本当におめでとうございます!
さて、アメリカのブリーダーズカップに倣って創設されたのが「JBC」。
前回ブログの続きのJBCレースレポートをお送りします。
今年、JBC3競走が行われた金沢競馬場は
馬場改修により、内ラチから4〜5頭分、ごっそり重たくなっています。
ある地元ジョッキーは
「4番枠まではゲートに入った時点で”ズボッ”という感じで深さが全然違います。
だから、内枠からダッシュをつけるのも少し難しいです」
と話します。
その影響でしょうか。
JBCでは初金沢で内枠に入った馬が出遅れたり、スタート後にダッシュがつかない場面がたびたび見られたように感じます。
前夜などに雨も降りましたが
「多少は内も使えるのかなと思いますが、まだまだ外の方が伸びます。
JBCまでに乾くのは難しいかなと思います」
とのこと。
13時過ぎに大粒のものすごい雨が10分ほど降り
少し締まった状態の良馬場でJBCを迎えました。
生ファンファーレが鳴り響き、まずスタートしたのはJBCレディスクラシック。
スタートでサルサディオーネがヨレ
ダッシュがつかなかったリネンファッションは珍しく砂を被る形となり
武豊騎手が2コーナーで内から進出していきました。
直線に入り、粘るリネンファッションを
「ダート適性も高い」(斎藤新騎手)とマドラスチェックが交わしにかかったところ
道中は後方に待機していたテオレーマが鋭く差して勝利。
パドックではマイナス10キロとは思えない迫力ある馬体を披露していたのですが
ここに向けてメイチに仕上がっていたとのこと。
「前走を使って状態はさらに上がっていました。
調教とケアを重ねてもう一段、状態を上げて臨もうと考えていました」
と石坂公一調教師のお話でした。
続くJBCスプリントは寒くなってさらに調子を上げたレッドルゼルの強さと
川田将雅騎手の巧みな手綱さばきが光ったレース。
前走、10月6日の大井・東京盃では
「夏負けが尾を引いていましたが、ひと叩きして状態はアップしていました」
と安田隆行調教師。
同厩舎の安田景一朗調教助手はレッドルゼルの父ロードカナロアについて
「同じ馬体重でも、夏より冬の方が肌ツヤがいいです。
レッドルゼルも寒くなるほどコンディションを上げます」
と話します。
そしてレースでは、深いとされるインを4コーナーで突いて完勝。
みんなが内を避ける中、
レッドルゼルならパワーがあるからこなせると信じての川田騎手のコース選択にシビれました。
同じく直線で
「このクラスのメンバーだと、外を回って距離ロスがあるより、内に行った方がいいと思いました」と
内から伸びて5番人気サンライズノヴァを2着に持ってきた吉原寛人騎手にもシビれました。
この絶妙なコース取りを改めて振り返ってみると
川田騎手がJBCレディスクラシック、スプリントと2勝したことも
本場のブリーダーズカップを制覇したことも
「高い技術があったからこそ」
と感じますし
吉原騎手がJBCクラシックを制覇したことも同様に感じます。
そのJBCクラシック。
レースレポートは地方競馬全国協会のオンライン誌「ウェブ・ハロン」に書いたので
ぜひそちらをお読みいただきたいのですが、ここでは書ききれなかった話を。
勝ったミューチャリーは3歳時、羽田盃を鮮やかな末脚で勝ったことで
それまでにも重賞タイトルは手にしていたものの
ここで一気に注目を集めることになりました。
そして「強烈な末脚を使う馬」というイメージを今まで持っていました。
ところが、前走の白山大賞典に続き
JBCクラシックでも吉原騎手はミューチャリーを先行させます。
これには矢野義幸調教師も
「位置取りが少し前で
以前、こういう形で負けたことがあったので
前に馬がいなくて心配しました」
と振り返ります。
続けて、「でもジョッキーに一任して見ていました」と信頼。
対する吉原騎手は
「返し馬で前回よりいい状態と感じ
カジノフォンテンの近くでレースをしたいなと思いました」
と考えていたようです。
ちなみに吉原騎手はJpnⅠ/GⅠ初制覇となった盛岡の南部杯でも
サンライズノヴァをそれまでよりも前目の位置で競馬をさせました。
それについて当時
「馬に気づかせないように出して行った」
と教えてくれました。
大きく腕を動かしたり、ハミをかけ直したり
あるいは腰を入れてグイグイ促しているような素振りはまったく見えないのですが
気づくとスーッと先行させていたのです。
地方競馬において、圧倒的に有利なのは逃げ・先行。
序盤から前の位置につけられるものならつけたいのですが
ダッシュがつかず前の位置を取れないとか
前半で無理をすると、直線で脚が上がってしまうなど
何かしら「前に行けない」理由があっての後方待機策から勝利を狙います。
そういった考えをベースにした上で
「ミューチャリ―を先行させて勝った」
ということを考えると、本当に素晴らしくて
吉原騎手だからこそできたレースだったのだろうなぁと感じます。
「ビックリしすぎて涙が出ません」
という吉原騎手の大きな笑顔で
今年のJBCは幕を閉じました。