先週の京都大賞典。
たくさんの「熱い」が詰まったレースでした。
戦前、最も注目していたのはキセキ。
大雨の菊花賞から4年もの間、勝利から遠ざかっているGI馬が
初めて鞍上に和田竜二騎手を迎えました。
勝てていないと言っても、
自らラップを刻んでアーモンドアイの世界レコードの2着だったジャパンカップや
リスグラシューやクロノジェネシス相手に踏ん張った宝塚記念2着など
あと一歩の惜しいレースも数多く見せていました。
元は角居厩舎の馬。
角居厩舎といえば、所属馬たちはいつもパドックで見栄えする馬体を披露していました。
人気していなくても、「これだけ素晴らしい馬体なら…!」と期待して
つい馬券を買いたくなったことは多々あります。
そして、キセキもそれに漏れず
パドックではいつも惚れ惚れするカッコいい馬体を見せてくれていました。
そのキセキが、京都大賞典の直線でついに先頭に立ったのです。
アリストテレスはその後ろで、
直線入り口で進路が塞がった場面がありながらも
外に切り替えると伸びてきました。
でも、キセキも内で踏ん張っている。
並ばれても、なかなか交わさせようとしない。
なんとか差し返して……!
そう祈ったゴール直前、外から飛んできたのはマカヒキでした。
その瞬間、全力でマカヒキの応援に切り替えました。
この馬もまた、日本ダービーとフランス・ニエル賞を勝って以来
5年もの間、勝利から遠ざかっていたのでした。
恥ずかしながら、直線でどこにいたのか全く気付かなかったけど
マカヒキが復活する瞬間を見たい。
2018年の札幌記念のようなハナ差2着は嫌だ。
そんなことが頭をかすめた瞬間、
マカヒキはきっちりハナ差交わして、1着でゴールしたのでした。
引き上げてきたマカヒキを出迎えるスタッフの方々の背中を見るだけで
胸が熱くなりました。
結果が出なかった間、どれだけもどかしく悔しい思いをしたでしょう。
それでも、信じ続ける姿に強い思いを感じていました。
キセキは残念ながら3着に敗れましたが
「マカヒキの姿を見て、諦めずに挑戦し続けていれば
競馬の神様からご褒美がもらえると教えられた気がしました」
とはキセキの担当助手の話。
努力しても報われないかもしれない
でも、努力しなければ報われない。
そんなことを感じさせられた京都大賞典でした。