若いパワー
天皇賞・秋は3歳馬のエフフォーリアが強かったですね。
鞍上の横山武史騎手は先週の菊花賞・タイトルホルダーに続き
2週連続でのGI制覇。
リーディングも関東では1位に立っています。
関東のリーディング上位騎手を見てみると
2位吉田隼人騎手(現在は栗東に拠点を置きながら騎乗)
3位戸崎圭太騎手
4位横山和生騎手
5位菅原明良騎手
と、横山兄弟と菅原騎手の3名が20代。
関東はイキのいい若手が多く台頭してきて
世代交代が進んでいっているのかもしれません。
“若い”といえば
天皇賞・秋でのエフフォーリアのウイニングラン。
スタンド前に戻ってきた横山武史騎手はとても嬉しそうにガッツポーズをしていて
無邪気に喜んでいる姿を見ると
こちらまですごく嬉しくなってきます。
また、そんな中でもガッツポーズを
観客に向けて、報道カメラに向けて、など
それぞれにサービスをしながらやっているようにも見えました。
単に「勝って嬉しい」というだけではなくて
応援してくれたファンと一緒に喜びを分かち合ったり
天皇賞の様子を伝えようとしているカメラマンに対して
ポーズを決めたりしているように感じられました。
それだけに、地下馬道を降りていく時に
ゴーグルの下で、おそらく涙が込み上げてきているであろうシーンは
彼にとってのこの勝利の重みも感じました。
レース後の引き上げのシーンって
陣営の思いが詰まっているように感じられて好きなのですが
今日のウイニングランや地下馬道を降りていく場面は
何回でも見ていたいなぁと思いました。
先週の競馬から
先週17日の東京ハイジャンプ。
粘り込みを図り、人馬ともに重賞初制覇をかけたホッコーメヴィウス・黒岩悠騎手と
1年4か月ぶりのレースで勝利を目指すラヴアンドポップの接戦に
手に汗握りました。
4分の3馬身差で制したのはラヴアンドポップ。
障害入り後、1年以上にわたる休養が2回あった馬ですが
2018年秋、障害初勝利を挙げてすぐに出走した阪神ジャンプステークスではアップトゥデイトに半馬身差まで迫る2着でした。
当時、ライバル陣営からは
「アップトゥデイトも強いけど
ラヴアンドポップも強いよねぇ。
大きなところを勝てると思うよ」
という声が聞こえていました。
2回の苦難を乗り越え、手にした2つ目のジャンプ重賞のタイトル。
無事であれば、またこれからの活躍が楽しみな1頭です。
そして、翌日の秋華賞。
アイドル的人気を誇るソダシは敗れてしまいましたが
同じ勝負服のアカイトリノムスメが優勝し、
改めて金子真人オーナーの血統の底力を感じました。
白毛馬の活躍も世界的にすごいことですが
両親ともに三冠馬という馬が、期待に応えてGIを制覇するというのもまたすごいことですね。
諦めない強さ
先週の京都大賞典。
たくさんの「熱い」が詰まったレースでした。
戦前、最も注目していたのはキセキ。
大雨の菊花賞から4年もの間、勝利から遠ざかっているGI馬が
初めて鞍上に和田竜二騎手を迎えました。
勝てていないと言っても、
自らラップを刻んでアーモンドアイの世界レコードの2着だったジャパンカップや
リスグラシューやクロノジェネシス相手に踏ん張った宝塚記念2着など
あと一歩の惜しいレースも数多く見せていました。
元は角居厩舎の馬。
角居厩舎といえば、所属馬たちはいつもパドックで見栄えする馬体を披露していました。
人気していなくても、「これだけ素晴らしい馬体なら…!」と期待して
つい馬券を買いたくなったことは多々あります。
そして、キセキもそれに漏れず
パドックではいつも惚れ惚れするカッコいい馬体を見せてくれていました。
そのキセキが、京都大賞典の直線でついに先頭に立ったのです。
アリストテレスはその後ろで、
直線入り口で進路が塞がった場面がありながらも
外に切り替えると伸びてきました。
でも、キセキも内で踏ん張っている。
並ばれても、なかなか交わさせようとしない。
なんとか差し返して……!
そう祈ったゴール直前、外から飛んできたのはマカヒキでした。
その瞬間、全力でマカヒキの応援に切り替えました。
この馬もまた、日本ダービーとフランス・ニエル賞を勝って以来
5年もの間、勝利から遠ざかっていたのでした。
恥ずかしながら、直線でどこにいたのか全く気付かなかったけど
マカヒキが復活する瞬間を見たい。
2018年の札幌記念のようなハナ差2着は嫌だ。
そんなことが頭をかすめた瞬間、
マカヒキはきっちりハナ差交わして、1着でゴールしたのでした。
引き上げてきたマカヒキを出迎えるスタッフの方々の背中を見るだけで
胸が熱くなりました。
結果が出なかった間、どれだけもどかしく悔しい思いをしたでしょう。
それでも、信じ続ける姿に強い思いを感じていました。
キセキは残念ながら3着に敗れましたが
「マカヒキの姿を見て、諦めずに挑戦し続けていれば
競馬の神様からご褒美がもらえると教えられた気がしました」
とはキセキの担当助手の話。
努力しても報われないかもしれない
でも、努力しなければ報われない。
そんなことを感じさせられた京都大賞典でした。
一歩前進
明日から中山と中京で馬主ご本人様の口取り撮影参加が再開されるとの報せを
インターネット上で拝見しました。
お恥ずかしいことにコロナ以降
情報を発信する立場でありながら現場取材がほとんど叶わなくなって生の情報から遠ざかり
「新聞/ネットでニュースを見ました」という状況ばかり。
今回も例に違わずなのですが、とても嬉しいニュースだなぁと感じました。
感染防止策が最優先されることはもちろんではありますが
レースに勝つ喜びの一つに
思いを託し、信じてきた厩舎関係者の方々と愛馬との口取り撮影も含まれることと思います。
ファンの立場からしても
ウイナーズサークルで行われる口取り撮影は憧れの光景であり
勝ち馬を称える特別なシーンでもあります。
明日から具体的にどのような運用になるのかは分かりませんが
ウィズ・コロナが日常になりつつあるいま
感染対策と並行して、少しでもこれまでのような楽しみを取り戻せる日々になるよう願うばかりです。