はい!現場の大恵です


大晦日

大晦日になりました。

今年は例年以上に「あっという間」を感じた一年。
「現場に行くこと」がどちらかと言うと美学だと思っていましたが
その概念が崩された年でもありました。

しかし、一歩離れることで見えてくることも。

生活スタイルが一変しましたが、みなさまはどのように過ごされたでしょうか?

来年も一緒に笑って過ごせますように。
どうぞよいお年をお迎えください。


どうしても伝えたいこと

11月26日の地方・園田競馬で突然、大柿一真騎手が家事都合のため全レースで騎乗変更となりました。

一体どうしたんだろう?と、開催が終わったその日の夜
大柿騎手に連絡を取ると

「厩務員をしている弟が馬に乗ったまま崖の下まで落馬して意識不明で。
脳が腫れてきたので、圧迫しないように頭蓋骨を取る手術をしました。
緊急手術の連絡が入った時は『最期かもしれない』と言われて、さすがにメンタルをやられて……」

とのこと。

弟さんは元々、ジョッキーを目指していて
お兄ちゃんである大柿騎手を頼って西脇トレセンで厩務員として働き始めました。

西脇トレセンは山間に造られており
最も標高が高い所に馬場があって
そこから下っていく形で3段に分けて厩舎が並び
一番下に厩務員や騎手の団地があるという地形。

それゆえ、調教に向かう時には必ず坂道を歩くことになり
それが西脇所属馬の強さの秘訣とも言われていましたが
傾斜地に造られた構造が大事故を引き起こす一因ともなってしまったのでした。

この事故のことを聞いてからはただ弟さんの無事を祈り続ける日々。
「どうか頑張って!少しでも後遺症が少ない状態で戻ってこれますように」とずっとずっと願っていました。

しかし。
落馬事故から5日経った12月1日、帰らぬ人となってしまいました。

いつもニコニコ笑顔でパドックで馬を曳いていた大柿恒也厩務員。
お兄ちゃんに憧れてジョッキーを志し
夢破れた時、大柿騎手が「西脇に来たら?」と呼び寄せたのでした。

そんな経緯を思い出すたび、悔しくて切なくて、やるせない思いばかりが込み上げてきます。
そして、ご遺族の心中を察すると、とてもとても……。

大柿騎手は今週15日から騎乗を再開しました。
その初日に会いに行くと「またがんばります!」とレースと騎乗馬に向き合っていました。
翌日にはJRA3勝クラスから移籍初戦のメイプルグレイトでメインレースを勝利。
悲しみや葛藤を背負いながら、一歩ずつ前に進もうとしているんですね。

最期まで頑張った恒也厩務員のことを少しでも多くの人に知ってほしくて
ちょっと取り留めのない文章になってしまいましたが書きました。

詳しくは大柿騎手のTwitterに書かれています。
Twitterのアカウントを持っていなくても検索すれば見られます。
少しでも多くの人に19歳の少年が懸命に生きた証を知っていただければと思います。


パラ馬術と「馬のキネシオテーピング」

先週10日(木)、栗東トレセンで取材を終えた後
宮路満英さんの第4回全日本パラ馬術大会グレードⅡにおいて個人種目と団体種目での優勝を記念して開かれている写真展に行ってきました。

 

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▲宮路満英さん(中央)と奥様・裕美子さん(右)

 

宮路さんは元々、栗東トレセンで調教助手として働かれていましたが
2005年に厩舎で作業中に脳卒中で倒れ
現在も右半身に麻痺が残ります。

「競走馬に乗るのとは使う筋肉が全然違います」

というパラ馬術競技。

宮路さんは自由に動かせる左手だけで手綱を操作できるよう
持ち手がバーになった手綱を使って馬に合図を送ります。

また、馬術では通常、馬のお腹をクッと足で蹴るなどして
「前に進んで」とか「駈け足をして」などの合図を送るのですが
宮路さんは右足を使えないため
お尻や体重移動を利用して馬に合図を伝えるのだそう。

奥様・裕美子さんと二人三脚で歩んでこられ
2016年にはリオデジャネイロ・パラリンピックに出場。
今年1月、オランダでのゲーネマイデン大会では自己最高得点を更新しました。

そして先月末に東京の馬事公苑で開かれた第4回全日本パラ馬術大会で見事優勝。

大会の練習風景などを集めた写真展が
JR草津駅西口すぐのショッピングセンター「エイスクエア」内の
アルプラザ2階ヤシの木広場で開かれていました。

中でも私がお気に入りの写真は
宮路さんが馬場馬術に取り組まれているすぐそばで
奥様が腕組みをしてキリッとした表情でアドバイスを送られている一枚。

夢に向けてご夫婦で支え合っていらっしゃる雰囲気がとても伝わってきました。

これらは正木徹さんが撮影された写真。
そのほかにTCC(日本サラブレッドコミュニティクラブ)さんが撮影されたTCC馬術大会の写真や
ワールドカップで日本人女子初となるファイナル出場を果たしたの広田思乃選手の写真
また、馬術界だけでなくトレセンでも最近話題の「馬のキネシオテーピング」の写真も展示されています。

キネシオテーピングは炎症を起こしたり固くなった筋肉の部分に貼って皮膚を持ち上げてシワを作ることで
皮膚の下に隙間を作り、リンパや血液の流れを促進させて
回復を早める、というもの。

外側から刺激を与えるというより
馬自身が持っている回復力をより高めてあげるイメージ。
キセキが凱旋門賞に遠征した時にはフランスまでテーピングケアをしに行かれたそうです。

 

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▲黄色や緑色の馬のキネシオテーピング(青野菜名さんご提供)

 

ちょうど私が行った時間帯にはホーステーピング代表の青野菜名さんのほかに
地方競馬の馬主さんもいらしていて
「地方競馬では背腰に疲れを溜めている馬も多いですし
キネシオテーピング、よさそうですね!」
と話していました。

写真展は当初、昨日13日までの予定だったようですが
好評につき、しばらくは展示を続けられるとのこと。
アルプラザの開店時間(10時~21時)はみなさんご自由にお立ち寄りいただけます。


思わぬ影響

ふたたび新型コロナウイルスの感染者が増加傾向にあります。
馬産地である北海道でも感染者が急増している状況。

コロナによって「飲み会など密になる環境は避けるべき」とか
「マスクと手指の消毒を徹底しましょう」とか
いろいろと日常生活に変化がありました。

そして、コロナの影響は思わぬところにも及んでいます。
それは「馬の移動」。

たとえば、2歳馬でまだデビューには物足りないという若駒は
例年なら北海道で育成を続けられていましたが
今年はコロナの第三波前後に一気に本州に移動してきたとのこと。

北海道内での感染拡大を受け、調教師が現地に2歳馬を見に行きづらくなったからかもしれません。

また、園田競馬では夏頃に新しい誘導馬を迎えたいと考えていたものの
コロナの影響で馬の移動がままならなかったり
後継として育成中の誘導馬が有観客を経験したことがなく、
頼もしい古株を外部に移籍させられないという状況だったようです。

当初想定していたシーン以外でも新型コロナウイルスは次々に影響を及ぼしていますね・・・。


中1週のローテを見越して

書きたいことがいろいろとありながら
新型コロナウイルスの影響で発言に気を付けなければならない風潮もあり
筆が進みづらい今日この頃でした。

それにしてもコロナ以降、自宅でのお酒の量が大幅に増えました。
元々、外でみんなと飲むのは大好きな一方
自宅で一人で飲むことはほとんどなかったのですが
コロナで飲み会ができなくなったことに加え、先日、高知競馬で少し儲けさせていただいたため
インターネット通販を駆使して北海道を拠点にするセイコーマートから
十勝ブランデーを使ったハイボールをお取り寄せ。
手ごろな価格なのですが、スッキリした味わいでサクサク飲み進みます。

さて、先週は園田競馬場で行われた兵庫ジュニアグランプリ(1400m)の取材に行ってきました。
勝ったのは2戦無敗で挑んだデュアリスト(JRA)。
良馬場では破格の1分26秒9のタイムでの勝利でした。

 

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これまで砂を被ったり馬群で揉まれた経験がないことを心配していましたが
最内枠から好スタートを決めると、スピードの違いでハナを奪ってのレースぶりには「すごいなぁ」のひと言。
今後は距離延長が課題になるでしょうし
今年は兵庫ジュニアグランプリの施行時期が例年より遅く
全日本2歳優駿には中1週という2歳馬には厳しいローテーションとなりますが
それを見越してプラス8kgでの仕上げだったとのこと。

来週、マイルの全日本2歳優駿でどんな走りを見せてくれるか楽しみです。