はい!現場の大恵です

オーストラリアとの違い

今朝の栗東トレセンでは朝イチの追い切りが終わった直後からものすごい人だかり!

ここに写っているのは新聞社の記者だけで
右手には何台ものテレビカメラが陣取っていました。

 

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中心にいるのはダミアン・レーン騎手(青いヘルメット)。
サートゥルナーリアの日本ダービー1週前追い切りに騎乗し
直後にこの取材攻勢となったのでした。

オーストラリアから初来日した25歳は
短期免許の1週目にメールドグラースで新潟大賞典を勝利。
先週は土曜日にタワーオブロンドンで京王杯スプリングカップを
日曜日にノームコアでヴィクトリアマイルを制するなど
その勢いはとどまるところを知りません。

そこに、調教ではいつも馬なりながら楽々とすごいタイムを出し

先輩馬を簡単に突き放しちゃうサートゥルナーリアとコンビを組むとなれば
注目の的となるのはもはや必至でしょう。

 
囲み取材ではいろんな質問が飛び交ったのですが
その中で1つ、日本とオーストラリアの文化の違いを感じる話題を。

「レーン騎手にとって、ダービーとはどういう位置づけのレースですか?」

という記者の質問に対し

「オーストラリアではダービーを勝てて最高でしたが
日本ほどの品格はないんです。
というのも、各州にダービーがあります。
でも、日本はたった1つという重さ。
もし日本で勝てたら、さらにすごいことですね」

と。
その土地での競馬文化の育まれ方によって必ずしも

ダービー=全ホースマンが目指すレース

というわけではないのでしょう。
もちろん、ダービーも大レースですが
メルボルンカップなどそれよりもさらにすごいレースがあるんでしょうね。

 
そういえば、今月はじめにオーストラリアで調教助手をしている友人が帰国。
久しぶりの再会を果たし、競馬談義に花を咲かせました。

そこでも日本とオーストラリアの文化の違いが1つ。
それは「調教をどう終わらせるか」ということ。

日本ではゴール後に徐々にペースを落としていって
向う正面入口くらいで止めるのが多くのパターンでしょうか。
一部のトップステーブルの中には
ゴールを過ぎてひと息入れてからもう一度しまいを伸ばさせる、とか
ゴールを過ぎてからもしばらくは一杯に追う
といった厩舎もあります。

しかしオーストラリアでは
フィニッシュしたらグッと馬を止めるというのです。

え?それって脚元や体に負担がかからないの??

って心配になっちゃうのですが
「そうすることで、ゴールしたら走らなくていいんだって馬が覚える。
だったら、ゴールまで(追われている間)は目一杯走ろうってなる、という考え方」
だそうです。

言われてみれば、なるほど!な理由。

「レースでより高いパフォーマンスを発揮させるために」
という調教の目的は同じものの
そこに向かう過程がまるで正反対でとても興味深いお話でした。

そして彼は「レーン騎手は日本の競馬スタイルに合うタイプの騎手だって思っていました」と。

ちなみに、某調教師も
「オーストラリアの騎手が上手いというより
日本の競馬スタイルに合う騎手を連れてきている」と。

 
どんどん国際化が進んでいって
ひと言に「海外は●●」といった考え方では収まらない
多種多様な人馬の交流がこれからも増えていくんだろうなぁと感じました。

※文中で記した概念などはあくまで個人的見解で、一部のものです。