新馬戦スタート
日本ダービーが終わり、今週から2歳新馬戦がスタートします。
阪神で最初の新馬戦となる6月1日5レース(芝1600m)には注目馬がスタンバイ。
中内田充正厩舎のリアアメリア(牝、母リアアントニア、父ディープインパクト)は栗東トレセンで5番目の早さでに入厩しました。
(1番と2番はすでにご紹介した通り森秀行厩舎)
昨年は新馬戦開幕週にダノンファンタジーをデビュー(2着)させた中内田厩舎。
トレセンでは「それ以上かも」との声が上がっています。
追い切りには2週続けて川田将雅騎手が騎乗。
「順調で、ゲートも水準。スピードがあります。
最終追い切りに騎乗した川田騎手は
『先週より動きが良くて、馬も走ることを理解してきているのかな』と話していました。
テンションは2歳牝馬らしさもあるので
落ち着いて競馬場の雰囲気やレースをこなしてくれたらと思います」
と、厩舎スポークスマンの猿橋助手。
中内田厩舎は、しっかり動ける状態になってからデビューさせることが多く
早期デビューのダノンファンタジーがファンタジーS、阪神JFと早くから重賞戦線で活躍したことからも
期待が寄せられます。
そのリアアメリアの1つ内枠に入ったのはラルゲッツァ(牝、母ライカート、父グランデッツァ)。
平田修調教師が「ミスター・サラブレッド」と惚れ込んだかつての管理馬グランデッツァの初年度産駒です。
こちらもトレセンへの入厩が早く
3歳新馬と一緒にゲート練習をしていました。
母の父スウェプトオーヴァーボードですが
「体型は芝馬に見えます。お父さんのグランデッツァも芝馬ですしね」と芝でのデビューです。
翌日の阪神新馬戦には新種牡馬産駒がずらり。
エピファネイア
カレンブラックヒル
キズナ
ワールドエース
キズナ産駒は各方面から「いいよ」という声を聞きますし
早期デビューも多そうな印象。
エピファネイアはすでに地方・門別でデビューした馬がいます。
門別では開幕日に行われる最初の新馬戦「スーパーフレッシュチャレンジ」を一つの目標として仕上げてくるのですが
ここで産駒のアイズオンユーが2着。
スーパーフレッシュチャレンジは1着賞金300万円と
通常の新馬戦の倍額。
開幕ダッシュを決めたいという思いも相まって
ここにかける関係者の情熱も感じます。
JRAではエピファネイア産駒はどんな走りを見せてくれるでしょうか。
第86回日本ダービー
終わってみれば内枠有利な傾向を表す日本ダービーでした。
第86回日本ダービーは1枠1番のロジャーバローズが制覇。
過去10年、ロジユニヴァース、エイシンフラッシュ、キズナの3頭のダービー馬を輩出した最内枠は今年も大きなアドバンテージとなりましたね。
もう1つ、レース後にファンの間でささやかれたのは
「2頭出しは人気薄を狙え!だったね…」
ということ。
たしかに、平場や特別戦ではそんな格言で馬券を買ったりしますが
何といっても日本ダービー。
しかも今回は断然人気のサートゥルナーリアが同じ角居勝彦厩舎だったのですから
今回ばかりは例外というか、そもそもこの格言が頭に浮かばなかった方も多いのではないでしょうか。
ちなみに私は日本ダービー当日
ウインズ米子にトークショーのゲストとして呼んでいただき
ロジャーバローズは△に。
長くいい脚を使いたいロジャーバローズが内枠。
動きたい時に動けるよう、包まれずに運べる前目のポジションを取りにいくだろうし
Cコースに変わって前が止まらない馬場は味方するだろう
そして、乗り替わった横山武史騎手・リオンリオンはそれなりのペースで後続を離して逃げるだろう
・・・という予想まではなんとなく当たっていたのですが
馬券はコテンパンにやられました。
でも、馬券が外れても日本ダービーは感動します。
レース後、ビジョンに大映しになったロジャーバローズの横で嬉しそうにしていた担当の米林調教助手は
実はこのダービーがGI初出走。
「ついにGIに出走できないまま、母が亡くなってしまったんです。
いつ死ぬか分からないなって実感して、よりGIへの思いが強くなりました」
週中のトレセンでそう話していた米林助手。
念願のGI初出走が日本ダービーとなり
夢にまで見たGI初制覇も日本ダービーとなりました。
さぁ、今週からは来年の日本ダービー馬候補たちがデビューしていきます。
「デビュー前の牡馬は全頭、『未来のダービー馬や!』って言うんだ」
とはある調教師。
来年に向け、どんな物語が紡がれていくのでしょうか。
オーストラリアとの違い
今朝の栗東トレセンでは朝イチの追い切りが終わった直後からものすごい人だかり!
ここに写っているのは新聞社の記者だけで
右手には何台ものテレビカメラが陣取っていました。
中心にいるのはダミアン・レーン騎手(青いヘルメット)。
サートゥルナーリアの日本ダービー1週前追い切りに騎乗し
直後にこの取材攻勢となったのでした。
オーストラリアから初来日した25歳は
短期免許の1週目にメールドグラースで新潟大賞典を勝利。
先週は土曜日にタワーオブロンドンで京王杯スプリングカップを
日曜日にノームコアでヴィクトリアマイルを制するなど
その勢いはとどまるところを知りません。
そこに、調教ではいつも馬なりながら楽々とすごいタイムを出し
先輩馬を簡単に突き放しちゃうサートゥルナーリアとコンビを組むとなれば
注目の的となるのはもはや必至でしょう。
囲み取材ではいろんな質問が飛び交ったのですが
その中で1つ、日本とオーストラリアの文化の違いを感じる話題を。
「レーン騎手にとって、ダービーとはどういう位置づけのレースですか?」
という記者の質問に対し
「オーストラリアではダービーを勝てて最高でしたが
日本ほどの品格はないんです。
というのも、各州にダービーがあります。
でも、日本はたった1つという重さ。
もし日本で勝てたら、さらにすごいことですね」
と。
その土地での競馬文化の育まれ方によって必ずしも
ダービー=全ホースマンが目指すレース
というわけではないのでしょう。
もちろん、ダービーも大レースですが
メルボルンカップなどそれよりもさらにすごいレースがあるんでしょうね。
そういえば、今月はじめにオーストラリアで調教助手をしている友人が帰国。
久しぶりの再会を果たし、競馬談義に花を咲かせました。
そこでも日本とオーストラリアの文化の違いが1つ。
それは「調教をどう終わらせるか」ということ。
日本ではゴール後に徐々にペースを落としていって
向う正面入口くらいで止めるのが多くのパターンでしょうか。
一部のトップステーブルの中には
ゴールを過ぎてひと息入れてからもう一度しまいを伸ばさせる、とか
ゴールを過ぎてからもしばらくは一杯に追う
といった厩舎もあります。
しかしオーストラリアでは
フィニッシュしたらグッと馬を止めるというのです。
え?それって脚元や体に負担がかからないの??
って心配になっちゃうのですが
「そうすることで、ゴールしたら走らなくていいんだって馬が覚える。
だったら、ゴールまで(追われている間)は目一杯走ろうってなる、という考え方」
だそうです。
言われてみれば、なるほど!な理由。
「レースでより高いパフォーマンスを発揮させるために」
という調教の目的は同じものの
そこに向かう過程がまるで正反対でとても興味深いお話でした。
そして彼は「レーン騎手は日本の競馬スタイルに合うタイプの騎手だって思っていました」と。
ちなみに、某調教師も
「オーストラリアの騎手が上手いというより
日本の競馬スタイルに合う騎手を連れてきている」と。
どんどん国際化が進んでいって
ひと言に「海外は●●」といった考え方では収まらない
多種多様な人馬の交流がこれからも増えていくんだろうなぁと感じました。
※文中で記した概念などはあくまで個人的見解で、一部のものです。
ダービーの足音
寒暖差の激しい1日でした。
今朝の栗東トレセンの気温は3℃。
七分袖に長袖ジャージを着ているくらいでは寒くって
縮こまりながら自転車をこいでいました。
ところが、日が昇るとグングン気温は上昇し、14時半で23℃。
ゴールデンウィークも終わり、初夏の陽気へと近づいていっています。
これだけ日差しが強く気温も上がってくると馬場も乾きます。
午後にはCコースのウッドチップや運動場・馬道の砂地の散水作業を見て涼を感じてしまうほど(笑)。
ホント、午後は暑かったです。
「アツい」と言えば、今朝は
「なんだか人が多くないですか?」
という声が聞こえるほど
調教スタンドの周りに多くのマスコミが。
今週末のヴィクトリアマイル取材班
来週末のオークス取材班…と、ここまでは恒例なのですが
今日はさらに2週間後の日本ダービー取材班も!
早くも日本ダービー取材が始まっているなんて、アツいです。
…って、かくいう私もその1人なんですが
朝イチから池添兼雄調教師がたくさんの記者に囲まれようとしているな~
なんて他人事のように見ていたら
メイショウテンゲンの話だったのですから、驚きです!
(もちろん、来週のオークスに出走予定のメイショウショウブの話題もしていますよ)
やっぱり日本ダービーは格別だなぁ、と取材時期の早さからも感じるのでした。