何とも心の痛む事件が発生した。
千葉県野田市の小学4年、栗原心愛ちゃんが両親の虐待によって死亡したのである。
テレビの映像でその愛らしい顔を見る度に、胸が締め付けられるような思いに捉われるのは私だけではあるまい。
これを受けて昨日、野田市は再発防止策を検討する、『児童虐待事件再発防止合同委員会』の初会合を市役所で開いた。
心愛ちゃんにとっては遅きに失したとしか云いようがないが………。
それにしてもである、人の寿命ほど個人差があり、不可解なものはない。
「ダスキン?」
「うん、ダスキン、ダスキン」
「どうも云えない」
「今でもあるよ、ダスキン。きんは100才!100才!」
「ぎんも100才!100才!」
ダスキン呼ぶなら100番、100番。
双子姉妹の成田きんさん、蟹江ぎんさんが、100才を過ぎても元気であったことからマスメディアが注目し大ブレイク。
元祖お達者クラブと云えば、きんさん、ぎんさんだったのである。
「この『チューリップ賞』は、まともならテイエムオーシャンの独断場。デビューから2連勝。3戦目『札幌3歳S』ではジャングルポケットの3着に負けたが、レコード決着のハイレベル。2着も先々クラッシックを賑わす逸材との呼び声が高い、タガノテイオーだから仕方ねえ。暮れの『阪神3歳牝馬S』では関東の大将格ダイワルージュに2馬身の大楽勝。前目から突き放すレースっぷりは半端ねえぞ。しかし単勝が1.7とはョ〜。何があるか判らねえのが競馬。しかも3歳のお嬢ちゃんだしな。一丁ワイドでも買ってみっか」
「相手はどの馬ですってか?そったらもん1頭しかおるめえが。デムーロから豊に手替りしたエアセンスだ。名門伊藤雄二厩舎の秘密兵器。2戦目の小倉1800を5馬身差でオイデオイデのレースは圧巻だった。なんせデムーロの野郎、持ったまんまでアクビしながら乗ってやがんの。お父ちゃんはトニービーンで、芝の1600はドンと来いの血統だしな。初戦では2着に負けたが、相手が洋のアグネスゴールドだから仕方ねえ。テイエムオーシャンとエアセンスのワイド1点!男の子なら勝負だ」
長講釈はマスターの昔からの悪い癖である。
「よし!豊!そこでいい!」
スタートしてテイエムオーシャンをピッタリマークのエアセンスに、思わず一声のマスター。
「第4コーナーから直線!先頭はラガーペイジェント!テイエムオーシャンが交わした!交わした!テイエムオーシャン先頭!ポイントフラッグも食らいつく!外からビッグエリザベス!先頭はテイエムオーシャンこれは強い!2番手争いはポイントフラッグ!ビッグエリザベス!更にハクバノテンシ!テイエムオーシャン先頭でゴールイン!圧勝です」
1着 テイエムオーシャン 本田優J
2着 ポイントフラッグ 武幸四郎J
3着 ビッグエリザベス 村本善之J
競争中止 エアセンス 武豊J
4角のカーブで激しく手が動いていたエアセンスが、直線に入ってズルズルと後退。
明らかに故障発生である。
テイエムオーシャンのあまりにも鮮やか勝利とは対照的に、ターフで脚を痛がるエアセンスと傍らに佇む武豊J。
その様子を、阪神競馬場三階09の柱の定位置でじっと見つめるマスター。
「ありゃ〜多分ダメだろう。しかしだぜ3月3日の雛祭りの日にアウトなんて、神様も酷ぇ事しやがる」と呟いたそうな。
蟹江ぎんさんが、2月28日に110歳の天寿を全うしての大往生。
うら若き乙女エアセンスが、3月3日阪神競馬場で散った。
2001年のまだ浅き春の事である。