20.5%、この数字が何を意味しているかと云えば、セメント屋の大将が目論んでいる消費税率ではない。
全世界で起こったマグニチュード6以上の地震が我がJAPANを襲った数字。
11.9%、この数字は災害で被った、これまた全世界の損失中、我がJAPANの被害額である。
地球の僅か0.28%しかない国土からすれば、突出した数字なのは間違いない。
それほど地形学的に厳しい国にも関わらず、マスターの世代がノホホンと暮らして来たのは、強烈な災害が身近に起こらなかったからだ。
バット!それを一変させたのが『阪神淡路大震災』
1995年、淡路島北部沖の明石海峡を震源とした、マグニチュード7.3の地震が発生。
犠牲者は6,434人に達し、『東日本大震災』が起こるまで、戦後に発生した自然災害では、犠牲者の数で伊勢湾台風の5,098人を上回り最悪のものとなった。
「ここは大丈夫だろう」何の根拠もない安心感を持っていたマスターも、被災者の1人として茫然自失の状況に追い込まれる事となる。
その後、時は流れ、かっての賑わいを取り戻しているとはとても云えないが、神戸もそれなりに復興した。
「くよくよしても仕方ねえ。生きてる限りはおマンマ食わなきゃならね〜しョ。性根入れて働くしかないじゃん」
怠け者のマスターでさえそうであったのだから、まともな人間はど根性で生活再建に邁進した。
『麦は踏まれるほど強くなる』
逆境を跳ね返すマインドを持っているのが、我がニホリカ人なのである。
「まさか家がオシャカになるとは、あ〜あ、嫌なっちゃった〜、驚いたの牧伸二だ。と嘆いていてもどうなるもんでもねえ。ここは馬券で一つ絵にして、チィとでも損失補填するしかあんめい。被災者に気を遣った訳じゃねえだろうが、この『セントウルS』は中央競馬会の義援金レース。
熊ちゃんのエイシンワシントンが不動の軸だ。1200以外ではイマイチの評価だったが、『洛陽S』で1600をオイデオイデの大楽勝。あれなら1400の『セントウルS』でも大丈夫だろう。相手も絞れる、馬優先主義、幸雄のプレストシンボリ、天才開花、豊のビコーペガサス、熟女キラー、洋のスターバレリーナまで。馬連でこの3頭に流しゃ〜万全だっちゅ〜の。お父さん!まあ見てなって熊ちゃんが持ったままブッチギルからョ」聞かれてもいないのに長講釈はマスターの昔からの悪い癖だ。
「第4コーナーから直線!エイシンワシントン持ったまま!余裕がある!外からトーワダーリンが差を詰める!」
「晃一いらねえぞ!すっこんどれ!」とマスター一声。
「エイシンワシントン先頭!内からポットリチャード!スターバレリーナも突っ込んで来る!また河内か!また河内か!外からビコー!外からビコー!武豊と河内の叩き合い!交わした!交わした!武豊が交わした!ビコー先頭に躍り出た!エイシンワシントンは現在3番手!ビコーペガサス先頭でゴールイン!2着スターバレリーナ!3着トーワダーリン。エイシンワシントンは5着。やっぱり秋初戦のレースは怖い」
ど鉄板のはずのエイシンワシントンがオソボにされて目が点のマスター。
「何でこうなんだ?何でだ?何でだ?おかしい、このレースは絶対におかしい」と口から泡を吹いて怒りまくっていたが……。
「にいちゃん、豊の腕もあるやろけど、ビコーペガサスちゅ〜のは、2回も骨折してそれにもメゲんと走っとるええ馬や。わし単勝買うとるで。プラス10で430キロ、ちんまいけど、ど根性だけは負けへんねん。こう云う馬で馬券いわすんが競馬ファン冥利に尽きるっちゅ〜もんやろが」
講釈を垂れていたお父さんに、逆にまんじをこかれる事態に、シオシオのパーのマスター。
午後3時半過ぎ、難波場外に降りしきる雨が侘しさを余計に感じさせる。
『平成30年北海道胆振東部地震』で被災された皆さん、今は落ち込むでしょうが頑張りまっしょい!
1995年どころか、大昔から逆境を跳ね返すのはど根性と相場が決まってます!