新語・流行語大賞とは、その年1年間に発生した『ことば』のなかから、世相を軽妙に映し、多くの人々の話題に上った新語・流行語を選び、その『ことば』に関わった人物、団体を顕彰するとされている賞である。
直近では、『忖度』『インスタ映え』
第一回1984年からの受賞を見ると、鮮やかにその年の記憶が蘇って来る。
そんな中でも独特のパフォーマンスと共に覚えているのが2003年の『なんでだろ〜』
赤・青の揃いのジャージを着て、トモがギターを弾き、テツがおかしな踊りを踊り、「なんでだろ〜!なんでだろ〜!」と連呼しながら日常の何気ない疑問について繰り広げる2人漫談。
一度聞いたら忘れらない単調なメロディーと、思わず「ある、ある」と頷いてしまう歌詞が秀逸であった。
『集合写真を皆で撮って、出来上がった写真を見ると必ずこんな奴がいる。
目が半開きになってる奴
なんでだ、なんでだろう、なんでだなんでだろう~、
なんでだろう、なんでだろう、なんでだなんでだろう~
遠足に行って、自分の名字と同じ家を見つけると、
「ここ、俺の別荘」っていう奴なんでだろう
ねぇ、何歳?って聞いたら「俺、天才」っていう奴なんでだろう
プールに入ると、ビート板の上に乗ろうとする奴なんでだろう
「飛んでいっちゃった」
運動会のリレーで、カーブの時だけ腕を回す奴、なんでだろう
パックのジュースを飲んでいて、吹き出さないように気を付けていたら
「ストロー全部中に入っちゃった」
新しいティッシュペーパーを開けるとき、取り出し口を爪でなぞって、
最初の1枚だけ取ろうとしたら、5~6枚纏めて取れちゃうの、なんでだろう
なんでだろう~なんでだろう~、なんでだなんでだろう~
なんでだろう~なんでだろう~、なんでだなんでだろう~』
マスターが、白、青横二本線の勝負服が、驚異的なスタミナで淀のゴール板を駆け抜けるのを見て、思わず「なんでだろ〜」と天を仰いだのも2003年春真っ盛りの事である。
「競馬記者って〜のは楽な商売だぜ。この『天皇賞』は豊のダイタクバートラムにグリグリを打ってりゃ、自動的に当たるんだからョ。『阪神大賞典』を見て思ったんだが、やっぱ屋根は豊がいい。江田照もそこそこは乗るが、馬券を買う側の安心度では天と地ぐれぇの差がある。相手も難しく考える事ぁ〜ねえョ。同じダンスインザダーク産駒、横典のツルマルボーイ、山椒は小粒でもピリリと辛い、カッチーのトーホウシデンの2頭まで。あとはなんちゅうか本中華でオリンピック精神てことョ。ダイタクバートラムの単勝が2倍ってか?100万張りゃ〜200万になんだろ。落ちてるマニーを熊手でかき集めるとはこの事だがね!馬券愛好家の諸君!馬連2点!余裕のある奴は単勝にぶち込みない。こりゃ〜JRAのサービスレースだ」
聞かれてもいないのに長講釈は、マスターの昔からの悪い癖である(°▽°)
「第4コーナーから直線!さ〜横に広がった!広がった!先頭はタガノマイバッハ!その外からヒシミラクルが突っ込んで来た!ヒシミラクル一気に先頭!2番手外からサンライズジェガー!お〜外!ファストタテヤマ!ダイタクバートラムも突っ込んで来ている!ヒシミラクル!ヒシミラクル先頭だ!2番手際どい勝負!ヒシミラクル!ゴールイン!2着はサンライズジェガー!ダイタクバートラムは3着に敗れました」
1着 ヒシミラクル 角田晃一 7番人気
2着 サンライズジェガー 後藤浩輝 8番人気
3着 ダイタクバートラム 武豊 1番人気
単勝1610円、馬連16940円、馬単31770円、3連複12300円。
堂々の大万馬券決着となった。
「ヒシミラクル?そったら馬出てたのかョ〜。晃一もなんない!勝負ががりなら勝負ががりと記者会見でラッパの一つも吹かなきゃダチカンだろう。猫被りやがってとんでもねえ野郎だぜ。豊もだらしがねえったらありゃしない。単勝2倍が2着も確保出来ねえとは、全国1千万馬券愛好家の諸君に詫びの一つも云って貰わなきゃ〜気が収まらねえョ。しかし何でダイタクバートラムがヒシミラクルだけじゃなく、サンライズジェガーにまでオソボにされるんだ。俺ぁ〜意味が判らね〜ョ」と果てる事のない愚痴を垂れ流しても、時既に遅し。
テツandトモが「なんでだろ〜!なんでだろ〜」と唄って踊れば、マスターも淀競馬場で「なんでだろ〜!なんでだろ〜」と首をひねる。
2003年の事であった。