2017年の邦画興行ランキングが発表されたが、それを見ると暗澹たる気分なる。
1位 名探偵コナン
2位 映画ドラえもん
3位 銀魂
4位 劇場版ポケットモンスター
5位 君の膵臓を食べたい
ほとんどが漫画が、訳の判らないメルヘン?
もはやまともな大人が劇場に脚を運ぶ邦画はなくなってしまっている。
リアルには知らない、娯楽に飢えていた敗戦直後からの邦画ブームは別としても、1980年代から1990年代まではいい作品がモリモリ森昌子で、その旗手と云えばご存知故伊丹十三監督。
『お葬式』『タンポポ』『マルサの女』『マルタイの女』『大病人』
日本の社会に対する強い問題意識をもちながら、かつエンターテインメント性に富んだ作品はヤンヤンの喝采を持って受け入れられたのである。
そんな伊丹十三監督の作品の中でも、ひときわ異彩を放ったのが、『ミンボーの女』
ご無理ご無体なその筋の攻撃を受けているホテルに、最後の切り札として依頼を受けた女性弁護士が送り込まれる。
そのあまりにリアルな内容に、公開1週間後の5月22日夜、伊丹十三監督が自宅の近くで刃物を持った5人組に襲撃されると云う有り難くないオマケまで付いた。
主役はもちろん奥様の宮本信子さんで、スクリーンをところ狭しと躍動したのは1992年の事である。
「この『金鯱賞』は何故か唯一の牝馬、善之のイクノディクタスが一番人気だが、こったらもんはいらねえだろう。幹夫のビワラッキー、成貴のワイドバトル、祥のステイジヒーローのロータリー馬券でお帳面のレースさ〜ね。『エメラルドS』が強かったですってか?馬鹿じゃねえの『新潟大賞典』ですら勝ち切れねんだから、ここはカモもカモの大ガモだっちゅ〜」と聞かれてもいないのに長講釈は、マスターの昔からの悪い癖だったのだが………。
「4コーナーを回ってマチカネムラサメ先頭!外めからホクセイシプレー!内を通ってイクノディクタス!イクノディクタス先頭か」
「やめてケレ〜!」と悲鳴を上げるマスター。
「ワイドバトルが突っ込んで来る!さらにステイジヒーロー!外を通ってリターンエース!先頭は3番イクノディクタス!イクノディクタス!1着でゴールイン」
『1992年、第28回東海テレビ杯金鯱賞』
1着 イクノディクタス 村本善之
2着 リターンエース 武豊
3着 ワイドバトル 田原成貴
4着 ステイジヒーロー 武永祥
5着 マチカネムラサメ 北沢慎也
馬連がニャンと!4600円も付いた。
その勝った唯一の牝馬イクノディクタス、走りも走ったり51戦9勝で、3着内はまたまたニャンと!22回を数えるのだから只者ではない。
次の年には『安田記念』14番人気で2着。
『宝塚記念』8番人気でこれまた2着。
「雌馬は気まぐれだから当てにならねえ。買うなら牡馬でグリグリっと上から下まで◎が付いてる馬に限る」なんて、マスターのような馬券愛好家を奈落の底まで突き落としたイクノディクタス。
その筋の方々の脅しにも一歩も引かない宮本信子さんも強かったが、イクノディクタスも半端じゃない。
どちらも人呼んで『鉄の女』なるなりであった(╹◡╹)
今年も楽しみな『金鯱賞』がやって来る!