北新地競馬交友録

悪いのは

「社員は悪くありません!!!!!!!悪いのは全部経営陣です!!!!!」
4大証券会社の一角、『山一証券』の野澤社長が報道陣の前で鼻水を垂らしながら絶叫したのが1997年の事。
時はバブルが崩壊して約7年、更にそれに追い打ちをかける『アジア通貨危機』
トドメは龍太郎がよせばいいのに、敏いとうとハッピー&ブルーで消費税を3%から5%にアップ。
三洋証券の倒産、北海道拓殖銀行の倒産が相次ぎ、あの『山一証券』までもが万歳をしてしまった。
因みにこの野澤社長、破綻の三ヶ月程前に社長を押し付けられ、社長就任の際には、約2000億円規模の簿外債務の存在すら知らされていなかったのだから、「悪人の御本尊出て来い!」である。

「俺ぁ、『日経新春杯』は熊ちゃんのマルカダイシスでいてこまそうと思う。未勝利を勝ち上がるのに7戦を要したが、怒涛の4連勝でオープンの『トパーズS』の2着を挟んで、GⅡ『鳴尾記念』を奪取。初のG1挑戦『有馬記念』では大敗を喫したが、なんせ中京から東への遠征は初めてだったんだから仕方なかんべ。地元の京都なら大威張りだぜ。相手も豊のメジロランバダでやっ他目なし。この馬連一点でお帳面にならあね。一角崩しがあるとすりゃ〜幹夫のオースミベストだが、マルカダイシスとは『鳴尾記念』で勝負付けが済んでら」と結論付けたのは、まだ宮仕えだったマスター。
極寒の京都競馬場に、気合十分で乗り込んだのだが………..。

「第4コーナーから直線!ファンドリリブリア先頭、2番手はイブキタモンヤグラ!メジロランバダ武豊の鞭が飛んでいる!さあ!ランバダ交わして先頭か!マルカダイシスも一緒に伸びて来る!ランバダ先頭だ!ランバダ先頭!そしてイブキタモンヤグラが2番手に上がって来る!外からマルカダイシス差を詰める!先頭は完全にメジロランバダ!ファンドリリブリア内で粘っている!ファンドリ粘った!この2着は際どいが勝ったのはメジロランバダ!メジロ軍団の逆襲!メジロランバダ快勝!ファンドリリブリアが粘ったのか!それともイブキタモンヤグラか!マルカダイシスは伸びませんでした」

1着 メジロランバダ 武豊J
2着 イブキタモンヤグラ 角田J
3着 ファンドリリブリア 村本J
4着 マルカダイシス 熊沢J
熱燗が僅か5分で冷やになってしまう極寒の中立ち尽くすマスター。
スローペースに落として波乱を演出したのは、逃げの職人8歳馬ファンドリリブリアと村本Jである。
場内からは「熊沢!ボケ!何やっとんじゃ」と怒声が飛ぶ京都競馬場午後4時前。
『山一証券』で悪いのは旧経営陣だが、熊沢Jは責められる騎乗だった訳ではない。
マルカダイシスが最後伸びなかっただけと、ハズレ馬券を破いたマスター。
それが1997年の『日経新春杯』であった。

今年も寒いんだろうね〜。