北新地競馬交友録

気迫

正月が気分がまだ抜けない5日、野球ファンに衝撃が走った。
あの星野仙一さんが、すい臓がんで70歳の若さで天に召されたのである。
報道番組を見ていると、監督時代の映像、中でも楽天を日本一に導いた映像が多く流されていたが一番輝いていたのは、中日、阪神、楽天の監督時代より選手時代。
打倒巨人に燃えに燃えていた頃である。
巨人戦は歴代6位タイの35勝を上げ、中でも沢村賞を受賞した74年には巨人のV10を阻止。
あの世界の王さんをして、「闘志を全面に出した、攻撃的な投球は、勝負していてとてもやりがいのある投手でした」と云わしめた。
そう、星野仙一さんの真骨頂は球速でもなく、球威でもなく、見ているファンにまでピリピリと伝わってくる気迫なのであった。
心よりご冥福をお祈りしたいと思うのである。

「マスターさん、初張りの『京都金杯』おめでとうございます」
「どこが?なんでじゃ〜?の寛平ちゃんよ。1万5千張って払い戻しが1万と7千2百で2千2百しか儲かってねえじゃん。しかも腕達者、友のダノンメジャーにオソボにされそうになった。スグルちゃんが突っ込んでくれたからいいようなもんの、正月早々あったら怖い目に合うなんてよ〜。今年も前途多難だぜ」と熊本天草出身○原さんにひとくさり。
「儲かったんだから良しとしなくちゃ。それはそうとご贔屓の古川Jが凄いいきおいですね。6鞍乗って4鞍馬券になってるんですから、特にメイクデビューのサトノファイバーは完璧な騎乗でした」と競馬友達のK君。

「まあな、奴も昨年テイエムジンソクと出会ってヤル気が出たんじゃねえの。それはいいがよ〜あのロン毛何とかならねえのか?全然似合ってねえじゃん。『チャンピオンズC』の前日に関西テレビの『うまんc h e』を見ていたが、何が何でも勝っちゃる!と云う気迫が伝わって来ねえんだ。馬の力なら負けたゴールドドリームより断然上のテイエムジンソクで勝ち切れねえところが、歯痒いたらありゃしねえ。例えばダービーでのアグネスフライトの河内。古くは柴田政人のウイニングチケットを知ってる身からしたら、気迫!とオデコにマジックで書き込んでやりてえ気分よ。フルキチ先輩に足りないのはそこんとこだと思うぜ」と褒めてんだか貶してるんだか判らないマスター。

「なるほどですね。今日も楽しみな馬がいます。7Rのタガノジーニアスは確勝じゃないですか?」
「甘い!キミは博多あまおう並みに甘い。重、不良なら喜んで飛び込むが良馬場なら裕太郎のスズカブルグ、康太のアンナペレンナ、康成のエイシンミサイルも虎視眈々だ。しかも大外だろ。それよか俺の狙い馬はメイン『万葉S』のリッジマンだ。あの文句ばっか云って、ちっとも馬が前に進まないエビショーでタフな北海道の芝でも、1着2回、2着1回、4着1回なんだから、年の暮れに一発叩いて、手薄なメンバーの今回は大チャンス。相手はモチのロンで前年の覇者将雅のタマモベストプレイだろう」

「もう40歳ですからね。3000メートルの長丁場体力が持ちますか?」
「持ちますか?じゃねえよ。気迫で持たせなきゃいけま〜が。発表!3連複リッジマン、タマモベストプレイの2頭軸、相手は内から誠人のプロレタリアート、弘平のグランアルマダ、真一郎のトミケンスラーヴァ、学のラヴラドライトに一目1万。康成のトウシンモンステラに5千。まさか、まさか軽量貴志のサンマルホーム、マルコメのサイモントルナーレに1千。中途半端はやめて奥村チヨで、リッジマンの単勝に3千。締めて5万でいてこます」と結論付けた。

奇しくも星野仙一さんも、古川Jも出身が岡山県。
「おかやまのバアちゃん!見てる?」ボクサーの藤猛並みに勝利Jインタビューに出るの望む。
フルキチ先輩!気迫だ!気迫!