廣武君辭謝曰、臣聞、敗軍之將、不可以言勇。
亡國之大夫、不可以圖存。
今臣敗亡之虜。
何足以權大事乎。
この年の瀬にChinaの故事。
迷惑だな〜(((o(*゚▽゚*)o)))
出典は『史記』淮陰侯列伝。
ご存知、敗軍の将は兵を語らず。
負け戦の将として捕えられるような身分になれば、自分の戦略など述べてはいけない。
結局敗れたのだから、語れば語るほど、見苦しい限りである。
ざっとそんな意味。
この日曜日、敗軍の将なれど、語りまくったのが、北新地のマスターだ。
「俺ぁ〜豊が1枠2番を引いた時に思ったね。こりゃ〜間違いなく馬券になると。小回りの中山、2500はコースを6回も回るんだから内枠の先行馬が有利なのは、芦◯崇信幼稚園ひまわり組の真司君でも知ってらあね。これまで枠順に関しては、根拠も証拠もねえのに主催者の忖度が取り沙汰されて来たが、どんなもんだい!てなところだろう。しかも絡んで来られたら難儀な外人部隊が中団から後方にかけてレースを進めるとなりゃ〜豊の独断場だ」
「馬券はどのように?」熊本天草出身◯原さんに、「得意の枠連で行こう。豊のキタサンブラックと1枠1番を引いて雄叫びを上げたと噂の謙一ヤマカツエースの1枠から、JCの夢再びボウマンのシュバルグランの5枠に8万。7枠が厄だがそれを何とかするのが今のデムーロ。スワーヴリチャードとひょっとしたらのスグルちゃんミッキークィーンが同居した7枠に8万。まさか、まさかの1ー1に1万。何が起こるか判らないのが競馬。タテ目の5ー7を3万押さえようか。しめて20万で勝負をかける」と今年の締め括り『有馬記念』を結論付けたのだが………。
「第4コーナーから直線!先頭はキタサンブラック!逃げる!逃げる!リードが2馬身!シャケトラ2番手!追い込んで来るのはスワーヴリチャード!そしてシュバルグラン!間を突いてはクイーンズリングも追い込んで来るが!キタサンブラック!キタサンブラックだ!2番手接戦!キタサンブラック!ゴールイン!手を挙げた!武豊!この拍手!この大歓声をお聞きください」
奄美大島のダイビングボートの上で実況をスマホで聞いていたマスター。
キタサンブラックが勝ったのは判ったが、2着がまるで判らない。
シュバルグランかスワーヴリチャードなら当たりだが、クイーンズリングならハズレ。
慌てて神戸元町ウインズに出張っている、まあまあ愉快な仲間達に繋ぎを入れるマスター。
「おい!2着はなんない?」
「多分、クイーンズリングでは」と◯原さん。
「ジジイじゃ判らん!K君に代われ」
「マスター、すいません。クイーンズリングです」と競馬友達のK君。
なんで謝らなくてはいけないのかは不明だが、死刑宣告にも等しい言葉を聞いて、どんよりとした奄美大島の空を仰ぐマスター。
始まりはいつも雨がチャゲアスなら、お終いはいつも悲劇なのが競馬としても…….年の瀬の大走りは痛いなんてもんじゃない。
「マスター悲惨だね」
「私達を置いて奄美大島なんかに行くからこんな事になるんです。K君、同情する事はないですよ」
「◯原さん、それはそうだけど、大荒れで被害を被るのは僕達だから」
「当分会わないようにしましょう」
何時もの台湾料理屋で◯原さんと、K君が話しているとスマホの着信音が。
「あ!マスターからです。無視しましょ。無視無視」
「そんな事したら、かかと落とし確定ですよ。◯原さん出てください」
「…………..」
「マスターさん、お疲れ様です」
「あ〜疲れてる。俺は大いに疲れてるぞ。ホテルに帰って来て、リプレーを見たがあれはなんない?」
「なんないって?」
「デムーロの野郎だよ。あったら内に刺さるなら追うなって〜の。お陰で俺のシュバルグランが大被害を受けたじゃねえか。あれがなかったら間違いなくシュバルグランが2着で、俺の枠連1ー5がズバコン!42万にはなってた。騎乗停止2日間?ふざけんな!ちゅ〜の。明日、大阪に帰ったらデムーロに意見してやるから、ヤサ探しとけよ」
「はい、はい。電話帳で調べときます」
「レース展開の読みは完璧だったんだ。これでハズレたぁ〜。俺ぁ絶対納得しねぇぞ。大体が……………」
際限なく続くマスターの怒りとも愚痴ともつかぬ話しに、スマホをテーブルの上に置いて、両手を広げて「こりゃ駄目だ〜」のポーズを取る◯原さん。
マスター!負けは負け。
敗軍の将が兵を語り過ぎだっちゅ〜の。
明日の28日のラスト競馬。
マスターに買うタマと気力が残っているのだろうか(//∇//)
不安なるなりである。
明日も続きます!