北新地競馬交友録

ワンチャン

年末恒例の『2017ユーキャン新語・流行語大賞』の年間大賞とトップ10が1日に発表され、年間大賞は『インスタ映え』と『忖度』に決まった。
どちらもロクなもんじゃなく、『インスタ映え』は若い子はまだしも、いい歳をしたオッさんが料理の写真を必死こいて撮影。
あげくの果てにはアプリで加工して、ドヤ顔で投稿しているなんぞは馬鹿以外の何物でもないし、モリカケで延々不毛な議論が続けられる原因となる『忖度』はもう聞き飽きてウンザリするしかない。

「え〜と、8万が場に3枚切れていて、俺が手の中で一枚使ってるだろ。9万は場に2枚か。国士はねえだろうから、捨て牌からして端牌は怖ぇが単騎待ちのワンチャンス。9万エイヤ!」
「あ、それ!ドッカン!。リーチ、純チャン、ドラ一丁満貫でおま」
「マ、マジカル。汚ねえ待ちしやがって。持ってけ泥棒」
元々は麻雀用語であるワンチャンス。
それが若い子達の間で流行っているのを教えてくれたのは、マスターの店をお手伝いしている、コスプレ好きのMちゃんだ。

「今日、カラオケいかない?」「授業あるけどワンチャン行ける」
「俺、日本一バカかも」「それワンチャンある」
「あの子、ワンチャンお前の事好きじゃね?」「ワンチャンね」
このように「ワンチャン(もしかしたら)行ける」「ワンチャン(ひょっとしたら)ある」など、「可能性がある」という意味で使われるそうな。
今日の『チャンピオンズC』にもワンチャン有りそうなジョッキーがいる。
ご存知フルキチ先輩事、古川吉洋Jだ。

「マスターさん、『チャンピオンズC』は大混戦ですね」と年金暮らしを謳歌している熊本天草出身◯原さん。
「そうよな〜、この面子じゃ10回走ったら10回勝ち馬が変わるんじゃねえの。苦節ウン10年フルキチ先輩のテイエムジンソクに何とか勝って欲しいが、格の違いはともかく、左回りが初めてと云うのが気に入らねえ。しかも、世界のムーアや『ジャパンカップ』で大仕事をしたボウマン、はたまたルメールやクリスチャンを従えてフルキチ先輩が勝ち切るイメージがどうしても湧かねぇんだよ」

「でしたらお得意の枠連はいかがですか?テイエムジンソクと同じ7枠にサウンドトゥルーが入ってます」と競馬友達のK君。
「君もたまにはいい事云うじゃん。伊達に薄毛やってねえな。俺もそう考えてたところよ。バット!過去のレースで有利とされている内の方に面倒くせえのがいるんだよ」
「どの馬ですか?」
「プリンスのケィティブレイブだ。噂によると、3着の『京都大賞典』はまだしも、『ジャパンカップ』でボウマンに乗り変わられたシュバルグランに勝たれて、怒り狂ってるって話しだぜ。今回は期する物があるだろうし、なんせ手の内に完全に入れてらぁね」

「じゃあ、枠の1ー7にドカンと」
「うむ、それが大本線だが、上昇一途KOREAの競馬ファンの度肝を抜いた康成ロンドンタウン、二週続けても有りボウマンのグレンツェントの4枠。ゲートをまともに出りゃ勝ち負けムーアのゴールドドリーム、中京の鬼康太のキングズガードの5枠も無視できねえ」
「マスターさん、よく云ってるじゃないですか。あれも怖い、これも怖いじゃ馬券にならないって」
「う!うるせい!うる星奴らのラムちゃんよ。3千しか買わねえ奴はシャラップだ」

「はい、はい。でどのように」
「発表!枠の1ー7を4万と5千。1ー4、1ー5、4ー7、5ー7、7ー7を各1万。まさか、まさかの1ー1を5千押さえる。締めて10万で勝負を賭けっか」と結論付けた。
フルキチ先輩一世一代の大駈け、福永J渾身の騎乗。
どちらもワンチャンあるとの見立てだが…………。
先々週、登録が発表された時には、「こったら難しいレース買う奴は馬鹿だ。G1だからって買わねえとお縄になる訳でもあんめえが」とまるで気のなかったマスター。
どうやら、枠番が決まると血が騒ぐようで(笑)

フルキチ先輩!漢になれよ(╹◡╹)