北新地競馬交友録

ふらふら

競馬好きの芸能人と云えば、頭に浮かぶのは前川清さん、萩本欽一さん、小林薫さん辺りだが、誰か忘れちゃいませんか!と叱られそうなのが、陣内孝則さん。
無類の競馬好きで、JRAの馬主として競走馬を所有している。
少し年季の入った競馬ファンなら、キクジロウを覚えておられる方もおいでかと思う。
名前の由来は自身が主演したテレビドラマ『菊次郎とさき』で演じたビートたけしの父:北野菊次郎。
2008年5月4日、第2回東京競馬第4日、第3競走の3歳未勝利戦で初勝利を挙げ、表彰式では『菊次郎とさき』で着用したハッピを着て愛馬の口取りを行い、ヤンやヤンやの喝采を浴びたのだ。

その陣内孝則さんだが、本来のひょうきんな性格が災いするのか、どうにもシリアスな役柄がはまらない。
これだけの長い役者生活でも、「え〜と?何か出てたっけ?」ぐらいのイメージしかないのは残念な事だが、元々役者じゃなくミュージシャン希望。
それじゃ〜食っていけないとの転向組だから致し方ない。
そんな陣内孝則さんだが、1作品だけ「カッチョいいな!」と大向こうを唸らせて、ブルーリボン主演男優賞までかっぱいだのが『ちょうちん』である。

原作は『竜二』で鮮烈にデビューするも、癌で早生したナイスガイ金子正次さん。
東京新宿を根城とし人様から後ろ指を指される稼業。
世の中に害はあっても、何1つ貢献してない人間だが、精一杯気張っている様が何とも愛おしい。
ラストは原作者の金子正次さんを彷彿とさせる死に方をするのだが……..。
「いつまでもぶらぶらしてられねーだろっ! ちょうちんみてーによ」
哀愁タップリのヴァイオリンと叩きつけるようなピアノの音楽をバックに、自らのふらふらした生き方を変えようと悪戦苦闘する陣内孝則さん。
一世一代のハマり役であった。

「東京のメイン『京王杯2歳S』に、あのタワーオブロンドンが出る。しかも1枠1番でルメールだってよ。差し比べになったら他の馬じゃひとたまりもねえぞ。ならば前々でと思うが、高校生のぼっちゃん、嬢ちゃんじゃ少し出していくと、直ぐに臍曲げるから難しいぜ。タワーオブロンドンから馬連。相手内からデムーロのタイセイプライドに2万、枠連でスグルちゃんのカシアスと冬樹のモリノラスボスの6枠に1万。元取り豊のアサクサゲンキ、エビショウのエントシャイデンの7枠に2万と行こうか」

「な〜んだ!1番人気から2番人気、3番人気、4番人気、5番人気に流しただけじゃないですか」と茶化す熊本天草出身◯原さんに、「シャラップ!人の話しは最後まで聞け。更にカシアスの単勝に1万と6千3百を張り付ける。今までは1200しか走った事がねぇが、あの最後の伸び脚なら1ハロン延長は問題ねえだろう。後は屋根のスグルちゃんがどんだけ頑張れるかそれに尽きる」と結論付けた。

「4コーナーから直線!先頭はタイセイプライド!タワーオブロンドンは中団の外目!残り400!タイセイプライドにアサクサゲンキが並びかける!2頭の外に持ち出してカシアが追ってくる」
「うっしゃ!スグル!スグル!スグル!スグル!ズブズブに差しちまえ」とマスター渾身のシャウト。
「タワーオブロンドンまだ前まで距離がある!内からトーセンアンバー!ピースユニヴァースも差を詰める!200を切った!タイセイプライド!アサクサゲンキ!内からカシス!大〜外タワーオブロンドン!まとめて交わして2馬身!3馬身突き放した!タワーオブロンドン完勝ゴールイン。2番手はカシアス、3番手アサクサゲンキ」

枠の1ー6が的中、配当が1060円で馬連が1040円。
セコノビッチのマスター面目躍如である。
神戸元町ウインズに出張っているK君からスマホに着信があった。
「マスター、惜しかったですね。カシアスが頭なら単勝で13.9倍ついてましたから枠連とで払い戻しが33万円はあったのに」
「ありゃ〜無理だ。後でパトロール見りゃ判るだろうが、あんだけふらふらしてたら、100回走ってもタワーオブロンドンにゃ〜勝てねえよ。スグルちゃんも苦労してたな。見ているこっちもマジカルはらはらしたぜ」とサバサバした様子。

こら!カシアス!
陣内孝則さんじゃないが、いつまでもふらふらしてんじゃないよ。
真っ直ぐ走らんかい(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎

皆様、お付き合いありがとうございました。
明日も続きます。