龍疲虎困割川原
億万蒼生性命存
誰勧君王回馬首
真成一擲賭乾坤
長江の上流の鳥江を訪れた時に、唐宋八大家の一人韓愈が、昔の英雄に思いを馳せて詠んだ有名な詩である。
秦滅亡後覇権を争っていた項羽と劉邦は、何度戦っても決着が付かずお互い疲れ果て、烏江を国境線として国を分割することになった。
バット!帰路へ向かうとき、劉邦配下の張良と陳平が「今項羽を討たなければ、後々の憂いが残ってしまいます」と進言。
これを聞いた劉邦は、馬首を返し、項羽軍を破り漢帝国を築く事になる。
現代、四文字熟語として使われるのは『乾坤一擲』
たまに準備万端整えて、大勝負に出る時に使われたりしているが、元々はヘロヘロになりながら「いてこませ!」の号令を下したのである。
因みに乾は天を、坤は地を意味し、二つに一つ!と賽子をぶん投げたのだ。
「誰だ!この年の瀬に3日間開催なんてやろうと云い出したのはよ〜?金曜日にブライスガウ、土曜日にミッキーアイルでヤられてフラフラじゃねえか責任者出て来い!」
故人生幸郎師匠とタメを張るぐらいボヤいたマスター。
暮れの大一番『有馬記念』を迎える日曜日には、這うように神戸元町ウインズに突撃だ。
「マスコミは『やれ今度こそサウズオブアースだ』とか、『プリンスに復帰を決意させたシュヴァルグランだ』なんて記事で煽っちゃ〜いるが、俺ぁキタンサンブラック、ゴールドアクター、サトノダイヤモンド3頭立てのレースだと思う。発表!枠連!キタンサンブラックとゴールドアクターの同居する1枠からサトノダイヤモンドの6枠が大本線で15万。キタサンブラックとゴールドアクターの1枠ぞろ目を5万。締めて20万でいてこます!」と宣言した。
「残り400を通過!マルターズアポジーは売り切れ!キタサンブラック先頭!ゴールドアクターが並びかける!その後ろからサトノダイヤモンド!」
逃げ宣言のマルターズアポジーが注文通りハナを切って、番手にキタサンブラック、虎視眈々ゴールドアクターが3番手の展開。
直線でキタサンブラックがロングスパートをかけるの見てゴールドアクターとサトノダイヤモンドが詰める展開にマスター発狂だ。
「よっしゃ!デケタ!サンキューベラマッチョ!これが競馬よ!どれでもいい!」
「逃げる!逃げる!キタサンブラック!200を通過!キタサンブラック先頭!キタサンブラック先頭!2番手ゴールドアクター!外から外からサトノダイヤモンド3番手から前に接近!キタサンブラックか!サトノダイヤモンドか!並んでゴールイン!捉えたか!サトノダイヤモンド!」
「マスターさん!おめでとうございます」熊本天草出身◯原さん。
「おう!だから云っただろ3頭のレースだってよ〜。あ〜あ俺も意気地がねえったらありゃしねえ。三連複一点に20万ぶっ込みゃ良かったぜ」と、出来もしない事を真顔で云うんだから恥知らずは強い^_^;
枠の1ー6が330円付いて払い戻しが495000円。
当たり馬券から絶縁状を突きつけられ、ヨレヨレになりながも、乾坤一擲、『有馬記念』は堅いとの読みはドンピシャリ。
「マスター良かったですね。これでお正月沖縄でワカメ拾わなくてよくなりました 笑」競馬友達のK君。
「そうよな〜、死ぬ気で張りが20万じゃ〜勝負師の看板が泣くが、ねえもんはねえんだ。エアをキャンセルしてLAWSONでバイトしなくて済んだだけめっけもんかもな」
揶揄されて怒るかと思いきや、肩で息してホッとした顔をしているんだから、ここ2日の不出来が随分と堪えていたと云う事であろう。
乾坤一擲!で劉邦が掴んだのが天下、マスターが掴んだのは50万チョイ足らず。
月とスッポン、釣鐘と提灯、鯨とメダカぐらの差があるが、上出来!上出来!じゃないのマスター(^O^)/
皆様、お付き合いありがとうございました。
明日は大晦日。
もう1日、宜しくお願い申し上げます。