北新地競馬交友録

当たるまでやめない

吉本新喜劇の役者、島木譲二さんが16日午前9時6分、脳溢血のため入院先の大阪市内の病院で享年72歳でお亡くなりになった。
関東の方には馴染みが薄いと思うが、関西圏で島木譲二と云えばお笑いの大スターで、『大阪名物パチパチパンチ』『ポコポコヘッド』で一世風靡セピアした芸人さんだ。
そんな島木譲二さんだが、元はプロボクサーで『西日本ミドル級新人王』にも輝いた経歴を持つ。

「ジョージさん!こんにちわ」
将棋アマ2段、ボクシング初心者コースを通信講座でゲットしていたマスターは、大のボクシング好き。
今は『ボディーコロシアム』?の『大阪府立体育館』のボクシングの試合観戦で、現役を退いて既にお笑いで人気が出ていた島木譲二さんに何度も挨拶をしている。
もっとも島木譲二さんにとっては、単なるファンの1人でしかなかっただろうし、名前すら知らなかったのは間違いない。

リングサイドにどかっと腰を下ろして、漫画みたいにストライプの太いスーツに身を包んだ島木譲二さんは、とても普通の方には見えなく、周りにいている方達もただならぬ雰囲気を纏っていた。
並みの人間なら尻込みをする所だろうが、そんな事にはビックリもシャックリもしないマスターは、顔を見かける度に「へい!ゴメンないさいよ!ゴメンなさいよ」と、いかつい方達の間を縫って突撃していたのだ。

そんなマスターだが、一度だけ『梅田花月』の舞台で島木譲二さんを見た事がある。
サラリーマン時代、クライアントにボロかすにdisられて、「やってれっか!」で笑いを求めて劇場に脚を運んだ時の事。
漫才コンビや漫談、落語の後に真打『吉本新喜劇』が始まった。
ご贔屓の島木譲二さんが登場し、上半身を脱いでのお得意のギャグ『大阪パチパチパンチ』の連打。
大爆笑かと思いきや、客席はシーンとしたままである。

ここからが凄かった。
顔面を真っ赤にして、平手で自分の胸を叩きまくる島木譲二さん。
3分以上叩き続けたであろうか、シーンとしていた客席からバラバラと拍手が鳴り出し、最後は劇場が一つになって拍手の嵐。
スタンディングオーベーションまで飛び出す展開に、お笑いなのに何故か目頭が熱くなる『梅田花月』午後4時前。
こんな凄い芸人は、今後もちょっとやそっとじゃ出て来る事はないであろう。

「明日の土曜日、阪神2R学のブルベアラクーンはド鉄板!相手はアッゼニのバニーテールと謙一のメイショウナンプウまで。万が一逃げるブルベアラクーンが飲み込まれた時を考えて縦目を押さえれば絶対当たります」と啖呵を店で切ったのは、競馬の前日の金曜日の事。
朝オッズを確認すると、ニャンと!ブルベアラクーンとバニーテールの馬連が2.4でびっくり!たまげた!驚いたマスター。
あれもこれも買ったら取って損まであると、「こりゃ〜厄です。2ー4のワイドなら1.5は付きますから変更宜しくお願いします」とお客様に緊急メールだ。

「第4コーナーから直線!先頭ブルベアラクーン!2番手バニーテール!この二頭が後続を引き離す!」
「よっしゃ!デケタ!川西能勢口まで走ってもそのまんま」
好発を決めたブルベアラクーン、向こう正面から進出したバニーテールの一騎打ちに、リビングでタバコを咥えて余裕のよっちゃんのマスター。
ワイドが2ー4で予定通り1.5倍付き、3万円が4万5千円になった。

「返す刀でもう一丁だ。阪神8R前々に付けれるデムーロのベルクリアが負ければ国会をデモ隊が囲む事態にならあね。相手も豊大明神のスターペスユウコちゃんでやった目ねえ。ワイドで、ナヌ?3倍も付くのか?ただ貰いじゃねえの」と自信満々サロン満で4万5千円を張り付けた。
「4コーナーから直線!メイショウタラチネ先頭!外に切り換えてベルクリア上がって来る!」
「デムーロ突っ込め!豊?豊はどこない?ゴラァ!豊追えよ!追えってんだ!」と大絶叫するも……。
1着 メイショウタラチネ 川田J
2着 イサチルホープ 国分優作J
3着 ベルクリア デムーロJ
5着 スターペスユウコ 豊大明神

まさか、まさかで地力上位のはずのスターペスユウコが馬券にならず-………マスターショボくれてるかと思いきや。
「俺に乗ったOさんには悪ぃ事したが、これで目が覚めた!明日ビシッといてこましたる」と逆に気合十分になったと云うのだから、やられ慣れている云うか不屈の精神と云うか島木譲二さん顔負けのど根性で……..。
片や受けるまでギャグをやめない!片や勝つまで馬券を買い続ける。
決してオツムは宜しくないが、見上げたもんだよ風呂屋の褌。
日曜日は当てろよ!マスター(`_´)ゞ

皆様、お付き合いありがとうございました。
明日も続きます!