本棚に埃を被ってひっそりと収まっている本が沢山ある。
何度でも読み返したい本もあれば、途中で挫折するも捨てるのが躊躇われる本もある。
その代表がカサばかり取っているが、あっと云う間にギブアップした『ニーチェ全集』全25巻だ。
実存主義の親分ニーチェ。
大昔、いきがって購入したものの、どう〜にも難解で、更に気を滅いらせるのが※注の多さである。
もっともその※注を読んでも意味が理解出来ないのだから漫画みたいな話しだ。
当時のヨーロッパの人々の文化、宗教に関する知識がなければ※注自体があまり意味をなさない。
素晴らしい内容なのであろうが、その真髄に触れる事が出来ないもどかしさは半端ないものがある。
余談だが、ニーチェを翻訳した方々のオツムの中はどうなっているのか?頭がいいとか悪いとかのレベルではなく、とても同じ人類とは思えないのである(≧∇≦)
そんな煮ても焼いても食えないニーチェではあるが、比較的判りやすく、たまには「にゃ〜るほどざワールド!」と膝を叩く下りもある。
『善悪の彼岸』や『ツァラトゥストラかく語りき』に代表されるアフォリズム形式の作品だ。
アフォリズムとは、物事の真実を簡潔に鋭く表現した語句。
警句。金言。箴言の指す。
例えば『人生は常に頂上に近づくほど困難が増してくる。寒さは厳しくなり責任は重くなる』
シーズンが終わり契約更改のニュースがよく流れているプロ野球に置き換えてみると判りやすい。
中学や高校では大騒ぎされた選手でも、頂点であるプロ野球に行くと活躍するのは大変な事だ!
何事も上に近づけば近づくほど、一筋縄では行かないなるなりである。
「マスター、今週の日曜日は切ないですね」
「K君マニーでも落として馬券が買えねえの?」
「違いますよ。東西のメイン、阪神の『ジュビナイルF』のリスグラシュー、中山の『カペラS』のニシケンモノノフ。どちらも中谷Jが乗っていた馬が勝ち負け。ご本人は中京の1000万下『名古屋日刊スポーツ杯』なんですから」
「仕方ねえじゃん。リスグラシューは圭太。ニシケンモノノフは横典なんだからよ〜。たまにトッポい事を平気な顔して云ってるが、多分本人が気にしてんのは間違いねえが……..。関係者にとっては、ごくごく普通の事だろう。そんな事より中京メインで矢作さんが回してくれた、タイセイサミットでカッコ付けなきゃダチカンゾ!ウチパクで3着、2着と来てんだ。この馬で芋引くような事がありゃ〜、リスグラシューだニシケンモノノフなんて云ってる場合じゃねえだろ」と『雄太貯金』から7万400円を単勝に張り付けたマスター。
「第4コーナーから直線!キンショーユキヒメ先頭!続くのはカレンバットボーイ!その外タイセイサミット!」
五分のスタートを切って好位をキープしたタイセイサミットだが、3コーナーからペースが上がりレースが動いた。
「どりゃ!雄太!雄太!雄太!そっから抜けて来い!」マスター、神戸元町ウインズの床を鳴らして大絶叫モードに突入だ。
「坂を上がって先頭はタイセイサミットか!外からアドマイヤコリン!200を通過!内からキンショーユキヒメ盛り返す!タイセイサミット先頭!間からウインテンダネス!ヴオラフォーエバー!タイセイサミットゴールイン」
1着 タイセイサミット 中谷J
2着 ウインテンダネス 菱田J
3着 ビオラフォーエバー 北村J
単勝は170円としょっぱい配当だったが、狙い済ました一撃でマスターご機嫌だ。
「あ〜あ。俺も意気地がねえったらありゃしない。こったら9頭立て、しかも外枠でレースがしやすいのは判ってたのに7万しか買えねえ〜とはよ〜。落ちてるマニーを熊手で集めるようなチャンスに縮こまってるなんざ〜、勝負師の看板下ろすしかないじゃん。30万!いや20万は買わなきいけま〜が」
終わってからなら何とでも云えるのが競馬だが、好き勝手云いたい放題である(~_~;)
「ゴール前、少しよれてましたね。あれでキンショーユキヒメが……..それでも勝って良かったです」
「まあな、わざとじゃねえから仕方ない。とにかくここで頭を外すなんて事がありゃ〜今後に大きく差し障りが出る。しかし考えてみりゃ〜、美浦でショボくれてたのが、今じゃローカルとは云え単勝1倍台の馬に跨ってんだから、てーしたもんよ。騎乗技術は俺ぁ素人だから何とも云えねが、ルメールより下なのは間違いねえ。バット!勝ちに対する執念だけはG1クラスよ。この調子で結果を出してれば、いつかG1にお手馬で出る日が来るかもな」
「マスター、それまで退場しないよう馬券をしっかり当ててください」
「バッキャロー!誰に向かってもの云ってんだ。170円のイーさんとは俺の事よ!」
(何の自慢にもなってないけどね 笑)
ニーチェじゃないが、『人生は常に頂上に近づくほど困難が増してくる。寒さは厳しくなり責任は重くなる』
これは競馬に置き換えててもいいだろう。
中谷J!ガンガレよ(^O^)/