北新地競馬交友録

外人部隊

リオデジャネイロオリンピックの陰に隠れて、今ひとつ盛り上がりに欠けたきらいのある『全国高等野球大会』
熊本代表『秀岳館高校』が、3回戦突破を決めての校歌斉唱時に、「秀岳館、帰れ!」とスタンドからヤジが飛んだそうである。
何とも心ないヤジなのだがその理由は、ベンチに入っている選手で熊本県出身者はゼロ。
野球部員3年生全体でも40人の選手の中で4人しか熊本県出身の選手がいないと云うのだから、さすがに極端である。
野球留学の選手は地元でも『外人部隊』と陰口を叩かれているらしい。
確かに県代表と云う建前から云えば問題が無きにしも非ずなのだが……….。

『秀岳館高校』だけでなく、全国に星の数ほどいる野球留学と云われる選手の最大の供給源は今も昔も大阪。
野球に打ち込んでいる生徒なら「何がなんでも甲子園に出たい!」のは人情である。
大阪予選は、今年も180校が出場し、全国で3番目に多い激戦区だ。
最近なら、大阪桐蔭や履正社などの有力校に進学しないと、大阪から甲子園に出場するのは、ほぼ不可能と云ってもいい。
それに比べて例えば鳥取(25校)福井(31校)高知県(31校)と云うのだから確率が違い過ぎる。
更に特待生扱いにしてもらえる、卒業後の進路を親身になって相談に乗って貰えるetc。
野球留学は生徒にとっても、親御さんにとっても、学校にとっても非常にメリットがあるのは間違いない。
問題は県民の皆さんが心から応援出来るか?その一点なのである。

「◯原さん、今日はなんだか落ち着いてるじゃん。いつもならレース直前まで新聞とにらめっこ、ベルが鳴ってから発券機にダッシュかましてるくせによ〜」
「マスターさんはさすが鋭いですね。昨日の晩K君と相談して、モレイラ転がしをする事にしたんです。K君の見立てでは、今日のモレイラの馬は新馬を別にして、その他は全頭勝つそうですよ。複勝なら鉄板なんですって。マスターさんも乗っかったらどうですか?」
「くぬ野郎!俺に競馬の講釈垂れようて〜のか?競馬歴30年を優に超えるこの俺によ〜。眠たい事云ってたらヘッドロックかますぞ」とご立腹のマスター。

「競馬って云うのはよ〜、話す事も出来ねえお馬さんが走って、鼻差、首差、0.1、0.2で天国と地獄、お大尽とブルーシートおじさんの世界だ。いくらモレイラが上手いたって、そったら簡単なもんじゃねえよ。馬券が転がる前にテメーが転がるのがオチだ。やめとけ!やめとけ!」と諭したのだが…………。
「4コーナーから直線を向いてジングルベルロック先頭!ファインキャプテンが追い上げてくる!200を切ってジングルベルロックが振り切りに掛かる!外からプロジェクション!ソニックタイガー!更にスワーヴラシードが追い込んで来る!ジングルベルロック!スワーヴラシード並んでゴールイン!」

4R ジングルベルロック1着
7R カレンマタドール 2着
8R ウインアキレア 1着
11R モーリス2着
ニャンと!全頭が馬券に絡んでしまった(≧∇≦)
マスター『札幌記念』の出走前に、「4着!4着!モーリス4着!エロエロエッサイム!南無阿弥陀仏!アーメン」と呪いを掛けてたと云うんだから漫画である。
『札幌記念』が2着で、馬券がパーフェクトに転がった◯原さんとK君がマスターをチラ見する神戸元町ウインズ午後4時前。
面目丸潰れだ〜(≧∇≦)

「何がモレイラない!真っ黒けの顔しやがって。第一母国のブラジルでオリンピックやってんじゃん、馬術でも出りゃいいのよ。人の国に来てカッパぐなんざ〜とんでもねえ野郎だぜ。あ〜あ豊大明神がいてくれたらよ〜。こったら好き勝手にゃさせねえよ。ヤダヤダ」といい泣きが入っている。
高校野球は地元愛が絡むから外人部隊はどうかと思うが、競馬は命より大切なお金が全て。
マスター!好き嫌い云うんじゃない!