『柔』by美空ひばり
勝つと思うな 思えば負けよ
負けてもともと この胸の
奥に生きてる 柔の夢が
一生一度を 一生一度を
待っている
人間の記憶と云うものは摩訶不思議なものである。
何十年も前の事を、なにかの拍子に思い出す事もあれば、一昨日のお昼に何を食べたかがどうにも思い出せないそんな事も。
オツムのいい方と話していると、キッズ時代の事を実によく覚えておられるのに驚かされる事がある。
マスターは場合は、まあ〜殆ど覚えていない。
自己防衛本能が働いて、パッとしない時代の事は自ら忘れようとしているのかも(笑)
バット!何故かテレビで美空ひばりさんが、羽織袴の男装、身振り手振り、オーバーアクション気味に見得を切って唄っていたシーンはやたら鮮明に覚えているそうな。
今改めて『柔』の歌詞を見ると、簡潔な文言の中に何とも奥深いものがある。
「勝つと思うな 思えば負けよ 負けてもともと この胸の……..」
勝ち負けにこだわり過ぎると、いい結果がでないし、負けてもともとぐらいの気持ちで、心に余裕を持たないと勝てないと云ったとこであろう。
「雄太よ〜、先週は惜しいレースの連発で……もったいない事をしたな〜」
「2着が3回で2馬身以内ですから……勝ちたかったです」
「ココファンタジアは2番人気だが、ガリゲットが7番人気、レーヌドブリエが4番人気だろ上出来だ〜ね」
「いや、勝たないとダメです。心底勝ちたいです」
それが中谷Jとマスターとの月曜日の会話。
いい馬がバンバン回って来て、年間50勝以上は軽くする騎手ならともかく……..勝ちにこだわるのは当然なんだが………..。
「久しぶりに『雄太貯金』を発動すっか。今週は2頭、これぞ!と云う馬がスタンバってる。一頭は土曜日阪神12Rブライスガウ。まだ2戦しか走ってねえが、中京メイクデビューの勝ち方にはビックらこいた。ゴーサインで一気に加速、上がり37.8で5馬身もブッチ切ったんだからよ〜。2戦目の『沈丁花賞』は若武者弘平のコウエイエンブレムの渋とさに屈したが、先々は大きなところを狙える器よ。相手はスグルちゃんのツーエムマイスター、天敵若武者弘平のラインシュナイダーの2頭。他の馬はオリンピック精神で、云うなれば3頭立ての競馬だあ〜ね。安定感で一歩リードするラインシュナイダーとのワイドなら外しようがねえぜ。5万、いやどうせ当たるんだ、出っ張りの1万5千足して6万5千いてこまそう!」と自信満々サロン満だったのに(~_~;)
「第4コーナーをカーブ!先頭はツーエムマイスター!3馬身のリード!2番手はブライスガウ!外からラインシュナイダー!ツーエムマイスターが突き放した!ラインシュナイダーが2番手に上がる!3番手にブライスガウ!外からタイキレガトゥースとコスモピーコック!」
「キャ〜!ヤメロ!優作ヤメテケレ!ダ、ダメだ〜」
ブライスガウは好発から逃げるツーエムマイスターをマーク。
第4コーナーを回って楽に抜けた浜中Jを捕まえようと差を詰めにかかるが、如何せん脚色がまるで違う。
実力1番ラインシュナイダーに交わされながらも3着確保でワイドが的中と思いきや、国分優作Jのタイキレガトゥースの強襲に合いまさかの4着とは(u_u)
「マ、マスター!……….」
神戸元町ウインズで馬券を買っていた、熊本天草出身の◯原さんからの悲痛な声が携帯の向こうから聞こえる。
「参りましたね。中谷Jもあんなに前に付ける事ないのに。だから最後は国分優作Jに差されちゃったんですよ。あ〜あ」と競馬友達のK君。
「そう云うな雄太は勝ちて〜んだ。4着になっちまったが、もしツーエムマイスターが垂れてブライスガウが差してたら、ナイス騎乗になったんだからよ〜。仕方ねえこれが競馬だあ〜ね」
「そんな事云っても6万5千円が……….」
「ガタガタいうな!明日当てりゃ〜いいんだよ。当てりゃ〜よ」と一喝したマスターだったのだが………。
美空ひばりさんが唄うように、負けてもともととは思えないのが普通。
それはそれで仕方ないのである。
皆様、お付き合いありがとうございました。
「明日当てりゃ〜いいんだろ!当てりゃ〜よ」のマスターに悲劇が起こるお話しに続きます。
宜しくお願い致します。