北新地競馬交友録

なめたらいかんぜよ

北海道5区が燃えている。
故町村信孝前衆院議長が亡くなった事による補欠選挙である。
当初は町村さんの娘婿で、早稲田大学から三菱商事を経て町村さんの秘書に転身した、和田義明氏の大楽勝と云われていた。
それに待った!をかけたのが、池田真紀氏。
幼いころ父親のDVにより一家離散。
18歳で結婚し2人の子供に恵まれるも夫が借金で蒸発。
介護などのトリプルワークを行いながら子育て、更に中卒から一念発起、大検を受け北海道大学を卒業したそうな。
ニャンと!ま〜壮絶であり、頭が下がる生き様である。

北海道5区が、そのエリート坊っちゃまVSど根性娘の闘いに沸いていると云うのだ。
普通に考えれば『弔い合戦』の御旗を立て、華々しいキャリアの和田氏が有利であろう。
競馬で云うならばハンデ3キロ貰って武豊Jが乗っているようなもんである。
事実、選挙戦が始まった当初は世論調査でも和田氏が圧倒的優勢で、関係者も「楽勝!楽勝!」とたかを括ってのだが…….真紀ちゃんの怒濤の追い込みで形勢は全く互角なのだと云う。
風の噂に聞けば人に頭を下げるのが嫌い。
演説会ではパワーポイントを使って自論を披露しているらしい。
「こりゃいかん!」安部ちゃんも17日には北海道入りする事になりそう。
油断大敵!何事もなめてると、とんでもない窮地に陥る見本みたいな話しなのである。

「おい!ワイドって馬券が発売されるの知ってるか?」
「あ〜、小錦がテレビで『ワイド!ワイド!』て連呼してるやつな。ありゃ〜、長年馬券を買って損をしている競馬ファンに、ど〜ぞ儲けてください!JRAのプレゼントだ。1着から3着の内の2頭を当てればいいんだろ。そったらもんレースを選びゃ〜外す方が難しいぜ」と、その昔大ものを垂れたマスター。
発売前は「とんだけ儲かるんだろう?」夢見る乙女のような眼差しで、馬柱を見ていたのだが………。
「ゲ!1着.4着!ギョ!2着.5着!キャー!3着.4着」悲鳴を上げるのに何開催も掛からなかった。
選んだ2頭の内の1頭があざ笑うかのように3着を外すのだ。
「ありゃ〜プレゼントじゃねえ。ワナ!ワナ!ワナ〜!」とザ・ピーナッツの歌を唄ってんだから、惨めも極まれりなのである。

とは云うものの、馬券で自分の両手両足だけじゃ足りなくて、そこいらを歩いてる爺さん、婆さんまで借り出してもまだ足りないぐらい損をし続けたマスター。
辿り付いたのは「馬券は単複!ワイドまで!3連単だ〜?そったら二階から眼薬さすようなもん当たる訳なかんべ!」で、たまにワイド馬券を購入しているのだが……..。
「デムーロ!こんにゃろう!何やってんだ!」
『産経大阪杯』池添Jのショウナンパンドラが来るも、デムーロJ断トツ1番人気のラヴリーデイが4着。
「会長!頑張ってください!会長!」
日曜日阪神6R、中谷Jのヴレクールが2着も、1番人気のダイシンバルカンが無念の4着。
「ルメール!馬鹿野郎!逃げろ!逃げろってんだ!」
『桜花賞』デムーロJのジュエラーが2センチ差で優勝するも、単勝1.4倍圧倒的人気のメジャーエンブレムが中途半端なレースで4着。

3つのレース全て自信満々で、走る前から取った気でいるもんだから、お金の損失もさる事ながら、精神的ダメージが半端ない。
「マスターさん!お祓いに行かれた方が、こりゃ〜何かの祟りかも。祟りじゃ!祟りじゃ!」
「◯原さん、おめ〜は『八墓村』か!そったらもんはこの世にねえよ。バット!狙い馬の複勝を買ってたら全部当たりなんだから………」
「マスター、ワイドはやめましょう危険です」と競馬友達K君。
「馬鹿野郎!ここまでコケにされてすっ込めるか(`_´)ゞ当たるまで買うからな」
「まさか『皐月賞』もワイドですか?まさか?まさかね!」
「当然だろう!どの馬にすっかは土曜日に決める」

どっかの議員候補じゃないが、なめた態度のマスター。
『鬼龍院花子の生涯』夏目雅子ちゃん風に云うなら「ワイド!なめたらいかんぜよ!」
地獄を見なきゃいいんだが( ̄(工) ̄)