『かもめが翔んだ日』by渡辺真知子
ハーバーライトが 朝日に変る
その時一羽のカモメが翔んだ
人はどうして 哀しくなると
海をみつめに 来るのでしょうか
港の坂道 駆けおりる時
涙も消えると 思うのでしょうか
あなたを今でも 好きですなんて
いったりきたりの くりかえし
季節はずれの 港町
ああ 私の影だけ
カモメが翔んだ カモメが翔んだ
あなたは一人で 生きられるのね
週明けの月曜日、北新地の人出は少なく通りはガランとしている。
店で安住アナ司会の『あなたが聴きたい歌4時間スペシャル』を、数少ないマスターの信者で某バイオ系商社マンのY君がスタッフ達とウォッチング。
尾崎清彦『また逢う日まで』、風『22才の別れ』、松田聖子『風立ちぬ』、山口百恵『プレイバックPART2』etc。
懐かしい歌がこれでもか!これでもかと流れて来るのだ。
そして、真知子渡辺の『かもめが翔んだ日』
思わず口をついて歌いだすマスターとY君。
「マスター!かもめが翔ぶのはいいですがあれが飛んでは……..」
「……….どもならん」
また、嫌な事を思い出した2人の周りの空気が淀んでいるのは、いた仕方ないのである( ̄(工) ̄)
「マスター!ショウナンパンドラですがプラス14キロですよ。大丈夫ですか?」と競馬友達K君(≧∇≦)
「おう!全然問題ねえ!きっちり乗り込んで筋肉を付けたと調教師のコメントにもあら〜ね。君や俺みたいに脂肪満載のプラス体重じゃねえんだ。これでオッズが甘くなりゃ儲けもんよ」
『産経大阪杯』阪神の2000なら、デムーロJがアクビしながらでも2着を外す事はないラヴリーデイと、女王ショウナンパンドラのワイドに、マスター自信満々で5万両を張り付けた。
「前半1000メーターは1分1秒1で流れています」
「マスター!スローですよ!」
「うるせ〜!うるせ〜奴らのラムちゃんよ!しかし豊の野郎上手く乗ってやがんな〜」
常日頃は豊様、豊大明神と持ち上げまくっているくせに、自分が馬券を買ってない時は豊の野郎になるんだから、マスターお里が知れると云うもんである(笑)
「4コーナ!を回って先頭はキタサンブラック!外からアンビシャス接近して行った!更に外からショウナンパンドラ!」
池添Jのショウナンパンドラはペースが遅いと見て、前目の位置取りから伸びて来たが、肝心のデムーロJのラヴリーデイが……….マスター半狂乱である∑(゚Д゚)
「おい!デムーロ!何やってんだ!馬鹿野郎!この野郎!おい!マジか?」
「200を切りました!粘っているキタサンブラック!アンビシャスが追い詰める!3番手ショウナンパンドラ!交わしたアンビシャス先頭だ!アンビシャスだ!」
頭を抱えてしゃがみ込みそうになるマスター。
まさか!まさか!ラヴリーデイが3着もないなんて……。
年明けから当たりまくっていたマスター、土日連続で負けるのは久しぶりで虚ろな目をして天井を仰いでいる。
「イタリア人を信じた俺が馬鹿だった。大体が先の大戦でも一番先にゴメンナサイと白旗上げやがってよ〜。根性てものがねえんだ!根性が。マカロニ野郎が!全く持って頭にくるぜ」
常日頃「デムーロが乗ると2馬身は違う」と云い倒していたくせに……..。
月曜日の白けたムードが漂う北新地でY君に、「かもめが翔ぶのはいいが、デムーロが飛んじゃ話しにならねえよ」ボヤく言葉にも力がない。
デムーロJ!しっかりしてくれ!