北新地競馬交友録

有馬記念を巡る4頭のお話しVOL2

大昔は大きく2つの民族に分かれていた。
農耕民族と狩猟民族。
コツコツ畑や田圃を耕すか、獲物を追っかけ回すかだ。
日本人は農耕民族と云える。
田植えや作物の手入れをするには、出来るだけ足は短い方が楽だし、背も低い方が疲れない。
方や狩猟民族は、獲物を見つけるのには、背が高い方が有利だし、獲物に警戒心を起こさせない為に、体毛や、ヒゲ、体臭も濃い。
そんな外見上の違いだけでなく、日々の文化や暮らしでも大きく違う。

農耕民族のお祭りと云えば年2回。
五穀豊穣を祈る春、収穫に感謝する秋である。
狩猟民族はどうかと云えば、いい獲物を仕留めたら、季節は関係なしでドンチャン騒ぎ。
寒い冬を耐え春に祈り捧げ、暑い夏の太陽や台風から必死に作物を守り、フラフラになりながらも、収穫をしてのお祭りで、農耕民族が弾けるのは、ごくごく最もな話しなのである。

「マスターさん、『菊花賞』で儲けさせてくれたキタサンブラックが楽しみですね」
「う〜ん、◯原さんそれはどうかな。俺ぁ『有馬記念』は要らねえと思ってんだ」
「え!距離短縮ですし、あの横山Jですよ。ゴールドシップを降ろされて、ギャフンと云わせてやると、腕撫してんじゃないですか?」
「それよ!それそれ!馬主のサブちゃんも今では御大尽だが、昔は3曲100円の流しをやってた苦労人よ〜。屋根の宏司の顔知ってっか?いかにも、いかにも先祖は畑耕してましたって感じだろ。あの組み合わせがいいんだよな。そりゃ〜典は凄い実績があっけど、お公家さんみてな顔してんじゃん。ひょっとしたら典の祖先に宏司の祖先がこき使われてたのかも知んねえぜ」

「マスター無茶苦茶云いますね。横山Jや北村Jに怒られますよ」と競馬友達のK君。
「だから、かも知んねえって云ってるじゃん。宏司がレース後に呟いた言葉を覚えてるか?あんなに上手く乗れる事はもう2度とないと思いますだぜ。前々インでジッと我慢で耐えに耐え、最後の直線で一気に弾ける。あの騎乗はお百姓さん丸出しじゃねえか。お公家さんの典にゃ出来ねえ芸当よ」
「…………..相変わらず説得力がない理由ですね〜」

「サブちゃんが『有馬記念』で勝ったら、『まつり』をフルコーラス歌うと云ってるらしいが、農耕民族の祭りは春と秋に決まってんだ。冬に出番はねえのよ」
「でもマスターさん!『まつり』の1番の歌詞に、今年も本当にありがとうって下りがありますよ」
「ま、マジカル?Σ(゚д゚lll)あ、本当だ。だけどよ〜それは収穫が無事出来てありがとうって意味よ。◯原さんどっかの政治家みてえに、拡大解釈したらダチカンゾ!」
「サブちゃんの『まつり』が聞きたいから、◯原買いますよ」
「俺がこんだけ理路整然と来ねえ理由を教えてやったのに、好きにせい!」

サブちゃんが、中山で『まつり』をフルコーラス歌う事態になったら、鍬持って踊るか?マスター!(笑)