北新地競馬交友録

チャンスは1度!

柴連こと柴田錬三郎は『眠り狂四郎』等の剣豪小説で、一世風靡セピアした作家であるが、現代小説でも多くの作品を残している。
いわゆるエンターテイメント型の小説で、出世、裏切り、恋なんでもあり。
マスターは小学生の頃、親に隠れて読んでいた。
キッズには刺激が強過ぎる内容で、一度見つかって、パピーにビンタを喰らった事も懐かしい思い出なんだとか。
その作品の中の一つが『チャンスは3度ある』
3度あれば上等なんだが……..。

「今週は昨年のリーディングジョッキー圭太に注目だ。トップの祐一が怪我をして後8勝で並ぶ。デムーロもルメールも頑張っているが、なんぼなんでも5週じゃ追いつくめえが、圭太の頭狙いで行ったらんかい!」
競馬友達K君、熊本天草出身◯原さんに激を飛ばしたマスターだったが……..。

『ラジオNIKKEI杯 京都2歳S』
好発を決めた戸崎Jのリスペクトアースがハナを切った。
1000mの通過タイムが1.01.8のスローで絶妙の逃げ。
「粘る!粘る!リスペクトアース、その外からドレッドノータス、更にその外にアドマイヤエイカン!」
「頑張れ!圭太!こらえろ圭太!圭太!圭太!」マスター、グリーンチャンネルに向かってあらん限りの声援を送る。
最後の100mは武Jのドレッドノータスとの強烈な叩き合いだ。

「リスペクトアース!ドレッドノータス!リスペクトアース!ドレッドノータス。僅かに外ドレッドノータスか〜」
首差、外のドレッドノータスが出た所がゴール。
「圭太の野郎何やってんだよ〜。自分より年喰ってる豊大明神に競り負けるなんて、気合い不足だぜ」
K君に直前のオッズで7.8倍付いていたリスペクトアースの単勝を頼んでいたもんだから、かなり機嫌が悪い。

土曜日は9鞍乗って勝ち星がなし。
マスターが日頃お世話になっている馬主さんの愛馬レイトライザーなんて、掲示板まで外す結果に激おこぷんぷん丸だ。
「5Rのアサマ、8Rのマッチレスヒーローは、何が何でも持って来るだろ。単勝で勝負だっちゅ〜の!」
褌を締め直して臨んだ日曜日。

「残り300を切った〜!シュテルングランツ、マッチレスヒーローも追い込んで来る!最後方から大外を回ってニットウビクトリー!ニットウビクトリー!ニットウビクトリーだ〜」
ニャンと!柴田善臣大先生にイチコロパンでオソボにされてしまうとはΣ(゚д゚lll)
ホームグラウンドの東京競馬場でも、9鞍乗って勝ち星はなし。
アサマとマッチレスヒーローの3着が精一杯とはマジカル泣けて来る。

「来年になりゃ、デムーロもルメールも年間通して乗るだろ。そうなりゃ圭太に出番があるとは思えねえ。落馬した祐一は気の毒だが、圭太が2年続けてリーディングを取れるのは今年しかねえんだよ。全く持ってなにやってんだ。もうちった〜しっかり乗れよな〜」
マスターにいい泣きが入っている。

戸崎J!確かにこんなチャンスは何度もないかもよ。
ラスト4週!渾身の騎乗を期待してまス!