北新地競馬交友録

素晴らしい一日

お客さんがいない時は、いつもぼんやりテレビを見て過ごしているマスター。
泣けてくるぐらいくだらないCMが多い中、素晴らしいCMがたまにある。
その中でも『大分むぎ焼酎 二階堂』のCMは秀逸。
人生のほろ苦い味わいが、昭和の香りとともに匂い立つ。

「泣いた、笑った、名もなき日々。
ため息を知らない私が、そこにはいました。
楽しかった想い出が、今では頬を伝います。
麦100%。大分むぎ焼酎、二階堂。」

「マスター!秋華賞、菊花賞と連続的中。天皇賞もGETしてください。
何から買いますか?」
「うん。今週『北新地競馬交友録』を読んでくれている方が訪ねて来てくれてよ〜。貴方が北新地の馬券名人ですか?菊花賞は300万ぐらい儲けたんでしょ!だってよ。そんなに儲かってたら、とっくのお父さんで逃亡してるっちゅ〜の(笑)どっちにしても嬉しい事だ」
「マスターさん、先週はありがとうございました。2万円以上の払い戻しなんて後にも先にもありません。○原感激です!」
「いいんじゃねえの。万度負けてばっかじゃ、馬鹿らしくて競馬なんかやってられねえもんな」

先週の『菊花賞』持ち金を溶かしてオケラ虫になった、マスターと○原さん。
『雄太貯金』からむしり取るように緊急融資。
それが吉と出た。
キタサンブラックと北村宏司Jの頑張りで、熨斗を付けて返したんだから、長い間やってりゃたまにはいい事もあるって事だ。
「発表!ラブリーデイがビシッと!決める。『宝塚記念』でも強えと思ったが、前走の『京都大賞典』は痺れた。将雅が騎乗停止でスグルちゃんに鞍が回って来たのもヨシ!枠が4枠8番ど真ん中なのもヨシ!勝ってくださいって云ってるようなもんよ。調教がイマイチとの話しも聞こえてくるが、な〜に心配する事あねえ」

「マスターさん単勝ですか?」
「そうさな〜単複でいいんじゃねえの」
「大好きな武Jのエイシンヒカリが人気のようですが?」
「いくら豊大明神でも、府中の直線を逃げ切るのは無理だ。好位からスグルちゃんの右ムチ一閃!ラブリーデイが突き抜けっから、ま〜見てなって。それとよ〜一頭怖いのがいてる。度胸1番謙一のショウナンパンドラよ。切れ味だけなら半端ねえ。
オマケでラブリーデイとのワイドも買っとくか」との宣託。

『ラブリーデイ』の意味は『素晴らしい一日』
青っ洟を垂らしていたキッズの頃。
毎日が輝いていた。
笑って、泣いて一日が終わる。
間違っても「最近ヒマでよ〜、いやんなっちゃうぜ」とか、「髪の毛が薄くなって来たな〜。マー○増毛法ってのは効くのかよ〜?」なんてマスターもため息をつきながら愚痴る事はなかった。
遠い昔の失った平凡な日々こそ、『素晴らしい一日』だったと気付いてもいまさらジローだ。
せめて競馬で……………..。

浜中J!宜しくお願いいたしまス!