北新地競馬交友録

闘いの行方

『袖振り合うも多生の縁』と云う諺がある。
Wikipediaによると、人との縁はすべて単なる偶然ではなく、深い因縁によって起こるものだから、どんな出会いも大切にしなければならないという仏教的な教えに基づく。
とあるが、それはどうだろう?と首を傾げたマスター。
何度袖振り合っても、まるで縁がない人もいれば、軽く振り合っただけでも縁が続く人もいる。
マスターも齢を重ねて、その辺りの事は何度も体験している。

京都馬主協会さんのブログ『北新地交友録』も、あっと思えば130回を数えた。
お叱りを受けながらも、ここまで続いたのは、これもご縁があったから。
皆様に感謝!の一言しかない。
ありがとうございます。
そのブログの第1回が、京都馬主協会のおえらいさんと、中谷Jのお話し。
中谷Jが初めて乗して貰ったオトコギマサムネを、福島競馬場で2着に持って来た。
これまたご縁。
もし、あのレースで二桁着順だったらどうだろう?
ど〜も単純に袖振り合うだけじゃダメのようである。

「マスター、あまり無茶はしない方が、ここもゴリさん作戦続行と云う事で………」
競馬友達K君の進言を、「ば!馬鹿野郎。ここで買わなきゃいつ買うんだ。雄太とオトコギマサムネは俺の原点よ。縁を感じんだ。スターウォーズ風に云うならフォースがビシバシてなもんよ」と一蹴したマスター。
「発表!単勝2万、複勝5万で行きたいと思う」
「え!そんなにΣ(゚д゚lll)」

「まて、まて。あわてねえで人の話しは最後まで聴け。『雄太貯金』だけリスクに晒す訳じゃあねえんだ。
俺もニシケンモノノフで儲けた8万5千、雄太と仲がいいスグルちゃんに『秋華賞』で儲けさせて貰った2万から1万5千を投入して、合計10万をぶち込む。単勝2万、複勝8万だ。『雄太貯金』と合わせて17万の大勝負よ」

「○原さん、アタマに来りゃ合計ナンボになる?」
「単勝が11倍ですから、4万円×11倍で44万円。複勝が4倍付いたとしたら13万円×4倍で52万円。ひえ〜合わせて96万円です」
「なんだ〜100万行かねえのか」
「マスターさん凄いです!」
1日3千円しか持って来ない小猿の○原さんが、尊敬の眼差しで見上げる神戸元町ウインズ午後4時前。
大きな事を云ってもマークシートを塗るマスターの手も少し震えている。

安目のスタートながらも、徐々に位置取りを押し上げていくオトコギマサムネ。
「こりゃ寒いぞ。馬群が全然ばらけねえ」
モニターを食い入るように見ているマスターが呟く。
最後の直線、馬群の中から必死で抜け出そうとする中谷J。
「雄太!割れ!そっから伸びろ!この野郎!伸びろってんだ!」
周りの馬券愛好家がドン引きするぐらいの大声で絶叫するマスター。

始まりはいつも雨はチャゲ&飛鳥だが、お終いはいつも悲劇なのが競馬。
馬一頭分の間を中谷Jがど根性で割って来たが無念の5着とは泣けて来る(。-_-。)
ウインズの低い天井を見上げて暫し無言のマスター。
「いいレースだった。今まであのカタチになったら、大概惨敗を喫してたのに、今日はしぶとい走り。おっかねえだろうにあの狭いところに突っ込んだ雄太も立派よ。次に繋がるレースだった」

この土日の新潟開催、中谷Jの成績は。
1着1回
2着2回
3着1回
5着1回
10鞍乗って5回も掲示板に乗った。
以下6着、7着、8着。
馬主さんに賞金が出ない9着以下は僅か2回。
馬の実績や人気を考えたら、渾身の騎乗と云えるだろう。

なのに、なのに『雄太貯金』も自分の懐もマイナスとは………縁が全く持って活きてないじゃないか。
マスター!馬券もうちっと上手くなれよな!(怒)