北新地競馬交友録

涙雨 その3

「尾形乾山の茶入れ!ご本人の評価額は50万円!オープンザプライス!ごせんえ〜ん 笑」
マスターの大好きな『開運 なんでも鑑定団』だ。
掛け軸、絵画、茶具、はては昭和の香りがプンプンするホビーまで。
自慢のコレクションを鑑定して貰う番組は、いつ見ても楽しい。
そのマスターのコレクションとは…….。

「◯◯さん、ボトル用勝負服。◯野テーラーさんより、明日到着予定です。スタッフに持たせた記念撮影の写メ送らせていただきますね」
「予期に計らえ」
ざっとこんな感じ。
棚にズラリと京都馬主協会会員さんを中心として、個人馬主さんの勝負服が並んでいる。
それがマスター自慢のコレクションだ。

先週の木曜日、最近ご縁が出来た、これまた京都馬主協会お偉いさんのボトル用勝負服が到着した。
「よし!よし!ドンドン増えて行くな〜、嬉しい事だぜ」
マスター大喜びなんだが、問題は日曜日の出走。
ボトル用勝負服を作ったはいいが、馬がちっとも走らなかったじゃ、「ダメだ!験が悪い」と思われるのがオチ。
これは存亡に関わる(≧∇≦)

「どうですかね?距離は1ハロン短いし、相手は強化されてるし、掲示板を確保出来れば良しとしましょうか」
「◯◯さん!何を弱気な!確かに距離は微妙ですが、スタートさえ決まれば、勝って何の不思議もないです。弘平も小倉リーディング、逆転優勝が掛かってますから気合い乗りも充分ですしね」
「だといいんですが……..」と至って弱気の馬主さん。

土曜日の酔っ払い買い逃しに懲りて、その夜は一滴もアルコールを口にしなかったマスター。
日曜日の朝は、ニャンと!7時起床でシャワーを浴びて斎戒沐浴。
期するところ有りと神戸元町ウインズに乗り込んだ。
外は雨とあって閑散とした場内を見渡したマスター。
「なんだ!なんだ!少々の雨ぐらいで、どいつもこいつも家に引きこもりやがって、意気地がないったらありゃしない」と一声。
睡眠も充分で気力に満ち満ちている。

小倉1R。
ボトル用勝負服を作っていただいた馬主さんの愛馬マーブルフレンテ。
前走は旅行中でジャストタイムでは見れなかったが、ビデオで確認したところスタートで大出遅れ。
それが最後まで響いての4着で、決して力負けでないのは明らかとの見立て。
「マスター、プラス10キロですよ。太くないですか?」
「伸び盛り、育ち盛りの2歳だ。暑さにも負けず成長してるって事よ。何の問題もねえ」

「よし!スタートは5分。弘平シッカリ乗れよ!」
最後の直線、内に進路を取って先頭に迫るマーブルフレンテと松山J。
「いけ!差せ!コウヘイ!コウヘイ!コウヘイ!コウヘイ〜!」
朝の1Rなのに、まるでG1並に絶叫する、マスター、競馬友達K君、◯原さんなんてピョンピョン跳ねてる。
何としても勝って欲しかったが、残念、無念の2着だ。

「うん、4番人気で2着なら良しかな?小倉は1200しか番組がないから仕方ねえよ。京都で勝ってくれるだろう。俺の責任も最低限は果たせたぜ」
(何の責任だ?念力効果か?笑)
「マスター!馬券の方は?」
「単勝はダメだったが、複勝、康誠タウギモウジアとのワイドが的中だ。へへ490円も付いたぜ。こりゃ〜朝から、『開運 なんでも鑑定団』風に云うなら、いい仕事してますね〜!てなもんよ」

好スタートで、今日はどんだけ儲けて帰ろうかと、鼻の穴を膨らませたマスターだったが……….。
お話しの続きはまた明日です。
いつもご愛読ありがとうございます。
引き続きお付き合いの程宜しくお願い申し上げます。