北新地競馬交友録

酔券 その3

接客業でしてはならない3大話しと云うのは昔から決まっている。
政治、宗教、野球の3つ。
マスターもこの戒めは固く守っているのだが、西宮の大社長のような最大の理解者とは、酔っ払うと忌憚のない話しをする事もあるらしい。
「安保法案どうなりますかね?反対デモも凄いそうですが、賛成デモも先日………..」
「あれはやな〜、現在我が国の置かれてる状況を考えると………」

「にゃるほど、そんなもんですか。まあ〜私の場合は嫁なし、子なし、親類とはそれこそ国交断絶で、この世に何の未練もありませんし、将来ある世間の皆さんにしっかり考えて行動して貰いましょ」
結局、薬局、郵便局でそんなところに落ち着く。
何が正しかったのかは、マスターが土の下で眠りに付く頃にはハッキリしているだろう。

「明日の札幌1Rスティルプリンスは2番人気ですかね?」
「そうでしょ。なんせ武Jの乗る馬は、HBAトレーニングセールの最高価格馬で3200万円越えてますから」
「そうなんですか、で○○さんの静かな王子(スティルプリンスの意味)はお幾ら万円なんですか?」
「自家生産でショウナンカンプの種付け料が20万円、育成代が180万円として200万ぐらいですかね」
「ひょえ〜!3200万VS200万の闘いですか!」
マスターが馬主さんとワインを飲みながら、そんな話しを土曜日の夜にしていた。

札幌1R。
抜群のスタートを切ったスティルプリンス。
バット!さすが豊大明神。
先行するスティルプリンスの外にさっと馬体を併せて、プレッシャーをかけ続ける。
「こりゃマズイ、ひじょ〜にマズイ。あれだけ被せられたら持たないぜ(≧∇≦)」
二日酔いもぶっ飛ぶぐらいの大ピンチ。

最後の直線、豊大明神が前に出る。
「ダメだ〜!」と悲鳴を上げるマスター。
ところが、ところがである。
「ありゃ?差し替えしたぞ!三浦押せ〜!コウセイ行け〜」
フェイスを真っ赤にしながら大絶叫。
インから差し返すとは………….強い。
単勝430円、複勝160円ゲット。
小倉1Rのブンブンヴラウに続いて、酔っ払いの『酔券』炸裂だ。

先日開催された『サマーセール』
マスターのお付き合いのある馬主さん達をトータルすると30頭以上落札。
お代金が1億は軽く突破している。
皆、元気にデビューして活躍してくれる事を祈るばかり。
『安保法案』はどうするのが正しかったかは、いずれ歴史が証明してくれるであろうが…….馬だけは……..結局判らないのだ。

お話しは続きます。
スイマセン、お怒りはごもっともですが、まだ1RでございますΣ(゚д゚lll)
明日もお付き合いの程、宜しくお願い致します。