北新地競馬交友録

サマーカーニバル その2

チャイナの古い書物に『鶏群の一鶴』と云う文言がある。
群れの中にいっとう抜きん出た存在がいると云う意味。

「マイケル君、函館6Rのハナズリベンジのレースだけど、3歳&減量で49キロとかいてんだよな〜。大丈夫かね?」
「問題ないです。仕上がりは最高。問題はレース運びですが、この前セールで丸田Jにあった時、絶対捲るように話しをしてますから。それで着順が悪くても文句は云わないが、捲らなければもう騎乗依頼しないと念押ししてます。この相手ならモノが違いますよ」

レース前々日の金曜日、マスターの店での会話だ。
得意の捲りをかませば無様な競馬になる事はない。
恐ろしいまでの自信。
マイケル君にとっては、このレースのハナズリベンジは、まさに『鶏群の一鶴』なのである。

普通、競馬場やウインズでシャウトする場合、最後の直線だが、向こう正面から「オラ!オラ!恭介行け〜!捲らんかい!」
ド迫力でシャウトしまくるマスター。
周りのお父さん達は、「こいつ頭おかしいんちゃうか?」
怖いものでも見るような視線がバシバシ突き刺さるが、そんなこたぁ〜平気の平左だ。

3コーナの手前から進出開始で大捲り炸裂。
直線で逃げる黛Jのファイトユアソングを交わして大楽勝だ。
「お兄さん、えらい元気やな。2番買ってたんかいな?」
「元気も元気、ユンケル10本飲んだぐれえの勢いよ。馬券見たいか?」
「………………」
「ほれ!これだよ、これ」
ハナズリベンジ頑張れ馬券を、横にいたお猿さんみたいなお父さんの鼻先に突き付けるマスター。
単複で諭吉チャンがドッカーンだ。

「ごっつい勝負してんなΣ(゚д゚lll)」
「まあ〜な。千円や二千円買って震えてるお父さん達とはモノが違わ〜ね。男ならこれぞと云うレースにはガッンと行かなきゃ」
なんたる不遜な発言。
いくら当たれば官軍と云っても、品がない事甚だしい。

「そっちのお揃いのシャツ着てる兄ちゃんは何買ってたんや。黛!黛とか叫んでたけど」
「そうだ!K君なにやってんだ。ハナズリベンジ応援しなきゃダチカンゾ」
「ええ、応援してましたよ。馬券見ますか?これですけど」
「え!マジか〜」

マスターの競馬友達K君が大仕事をやってのけた話しは、また、明日です。
先週に続いて拗ねまくるマスター漫画ですよ。
皆様、お付き合い宜しくお願い申し上げます。