北新地競馬交友録

『口取り物語』VOL4 わしが行ったら負ける その3

競馬場でたまにグループで競馬を楽しんでおられる方を見かける。
10人いれば5人が負け、3人が行って来いでチャラ、2人が勝ち。
ザクっとイメージで云えばそんな感じ。
全員が勝って万歳三唱!なんて事はまずないし、悪くすると全員負けちゃった〜!まである。

2歳500万クラス。
優作Jと岩田Jの叩き合い。
「優作!優作!優作!優作…………..」と10回は叫んだところがゴール。
までが昨日のお話し。
ど根性娘が闘志剥き出しで差し返したが、レースを見る限り、どちらが勝ったかは不明だ。

スロービデオを固唾を呑んで見ていたマスターが「ヨッシャ!差し返ししてる!どんなもんだい」
何センチなんて際どい事はなかった。
要するに興奮し過ぎて、訳が判かんなくなっちゃったって事。
マスターも大きな事を云ってる割には、全く持ってだらしがない。

勝馬馬主専用エレベーターを降りて、検量室前で調教師さんとガッチリ握手。
「いや〜先生、一瞬やられたかと思いました。マジどきどきしましたよ」
「そうですか?負ける訳ないですよ。桜花賞狙ってるんですから」
「そんなに素質あるんですか?」
「先々は大きなとこを取らせます」

大きく出た調教師さん。
マスターも仰け反るぐらいのビッグマウスだ。
まあ〜この時期に500万を勝ち上がれば、チャンスはある。
何よりも、勝つのが大変な世界。
勝った時ぐらい「好きな事云ってもいいかな?」
「いいとも!」てなもんだ。

優作J、調教師と連れ持って口取り撮影にウィナーズサークルに、さ〜撮影!と並んだところに、柵の向こうから「マスター!やったな〜」
「おめでとう!馬券取ったで」
「信じてた!」
「馬連で1万いわした!」
「3連単頭固定でバッチリや!」
JRAの職員さんも何事か?と驚くぐらいの大声援。

京都馬主協会さんのBlogを同時期にスタートした、稲富菜穂ちゃんほどではないが、マスターにも熱烈なファンがいる。
普段は推奨なんてしないのに、今回は「勝つ!こんなに人気がないのは何かの間違い。今買わなきゃ、いつ買うんだ!」なんてラッパを吹きまくったもんだから、信者、もとえファンが乗りで馬券をがっつり買っていた。

単勝6番人気で1180円
馬連3番人気の岩田Jとで3450円
3連複3着に人気薄の飯田Jが突っ込んで12960円。
3連単に至っては84550円も付いた。
皆、馬券を手に万歳三唱。
なんせ全員が大儲けするなんて奇跡みたいな事が起こったんだから、大騒ぎになるのも納得だ。

口取り撮影が終わって優作Jが、ファンにサインをしている横で、握手攻めに合うマスター。
「な!だから云ったろ!なぬ〜?3連単買ってたのか見せろ。この野郎!一目300円も買いやがって。坊主丸儲けじゃねえか!」
「マスターのお陰です」
「そ〜よ。俺のお陰だ!」なんて踏ん反り返ってるんだから漫画。
スロービデオを見るまで、震えてたのは何処の誰なんだ?(笑)

一躍時の人になったマスター。
西宮市会議員ぐらいなら、楽々トップ当選間違いなし。
「ワシが行ったら負ける」馬主さんの験担ぎのお陰で、いい思いをしたんだが……..◯◯さん!競馬場に行ってください。
馬主さんなさっておられるのにマジ勿体ないです。
マスターが是非!太刀持ちを務めさせていただきたいと云ってますよ!

次回『口取り物語』は「番外編 園田競馬でメタメタ』
皆様、お付き合いの程、宜しくお願い申しあげます。