北新地競馬交友録

一気

「一気!一気!一気!」
かって、馬鹿な学生が大騒ぎした年の瀬。
盆暗の店がある北新地も、押すな、押すなの大盛況のはずがさにあらず。
新型コロナ騒動のせいで、いつもより人が少し多いかな?のレベルだ。
しかも歩いているのは、社会人10年以内の勤人か、何を稼業としているのか定かではない雰囲気を全身から匂い立たせている人達。
東の銀座、西の新地と称されたのは遠い昔の話しである。

東大に3回?落ちて私学に学んだ我がニホリカのトップ。
支持率を下げないコツは何もしない事を、金科玉条のように守って来たのに、ここに来て一気に豹変した。
周到なるZの手引きで、防衛増税をぶち上げ、かっては、『泣く子も黙る税調』と恐れられた、税制調査会に足払い。
もっともその税調のトップが己の親戚だと云うのだから、出来レースみたいなものである。

防衛費増の一部を増税で賄うことを決めた手続きを巡り「プロセスに問題があったとは思っていない」と胸を張ったのだから、馬と鹿には付ける薬がない。
しかしながら、チキンハート。
「問題があったとは思っていないが、国民の皆さんから様々な意見や指摘があることは、政府としても引き続きしっかり受け止めなければならない」と非難されない様、予防線もしっかり張るのだから始末が悪い。

最低の年の瀬である。

「聞いてないぜ!こんな馬出てたのかよ〜。」
『阪神ジュベナイルフィリーズ』確かに、川田Jのリバティアイランドは強かったが、2着に突っ込んだのが12番人気のシンリョクカ、ご丁寧に3着が10番人気のドゥアイズと云うのだから、手も足も出ない北新地の盆暗。
頼みの8枠三頭が、揃いも揃って出遅れ&ニの脚がつかず、逃げ粘るかに見えたサンティーテソーロが失速した時点で、馬券は鼻も噛めないゴミと化した。
「け、俺の買う馬はどうして揃いも揃って弱っち〜んだ。あったま来るぜ。」と嘆いても後の祭り。
また、また、涙、涙の日曜日となった。

「マスター、おはようございます。今朝も寒いですね。」は競馬友達のK君。
「お宅はチイとも寒くねえんじゃねえの?しっかりナスが出たんだろ?」
「ナスってなんですか?」
「へ、相変わらずおとぼけがお上手で。ボーナスだョ。ボーナス。」
「そりゃ〜出ますよ。12月なんですから。」
「おい!喧嘩売ってんのか!月夜の晩ばかりじゃねんだぞ。」

「はい、はい。気に障ったらすいません。以後気を付けます。今日の『朝日杯フューチュリティS』はどうしますか。高校生のカケッコ。何が来るやら全然判りません。」
「たわけ!何十年競馬やっとるんなら。勝つのはドルチェモアしかあんめいが。前走の『サウジアラビアロイヤルC』。大逃げを打ったグラニットにビックリもシャックリもしないで差し切った脚は半端ない。瑠星が阪神の直線、前々から一気に突き抜ける。発表!単に2万、複に3万。」と結論付けた。

我が国のトップが開き直って、一気に民草に喧嘩を売りだした様はアンハッピー以外の何物でないが……….。
同じ一気でもドルチェモアは、阪神の直線を突き抜けてハッピーにしてくれるが、北新地の盆暗の見立てのようである。