北新地競馬交友録

敵は

夜が明けて太陽が昇る頃になると、マンションの2階の自宅は蝉時雨に直撃される。
真横が公園なだけに、夏のお約束である。
蝉時雨で思い出すのは、我がジャパンが先の不幸な大戦で矛を納めた、8月15日を描いたシネマ『日本のいちばん長い日』。
黒沢年男演じる畑中健二陸軍少佐が、本土決戦を叫びながら、蝉時雨の降る中、軍務局にひたすら自転車を漕ぐ場面が印象的であった。
結局、77年前の8月15日は建国史上最悪の夏から、御聖断を持って何とか脱出出来たのだったが………..。

「全国感染が初の20万人超最多更新」の見出しが踊るが何も驚く事はない。
当初より、「変異を繰り返えし感染力が上がり毒性が下がるのが通常のウイルス。PCR検査での炙り出しを止めない限りは無限にこの騒動は続く。」
京都大学の宮沢孝幸准教授や、大阪市立大学名誉教授井上正康先生が言い切っていた。

陽性者は爆発しているが、重症者は191人、多くて1日20人未満、少ない日だと2人ぐらいが増える程度である。
マスクをしながらランニングをするノーベル賞学者が絶賛している『NPO法人日本ECMOnet』によると、7月23日現在、全国で究極のマシンECMを装着しているのが8名。
人口呼吸器を装着しているのが24人。
え?嘘だろうと思うような数字である。

この数字は、『NPO法人日本ECMOnet』が、(CRoss Icu Searchable Information System, 略称CRISIS,)蓄積されたデータベースを元に毎日発表。
CRISISには日本集中治療医学会専門医認定施設、日本救急医学会救急科専門医指定施設を中心に日本全国600以上の施設が参加しており、それら施設の総ICUベッド数は5500にのぼり、日本全体のICUベッド(6500ベッドほど)の80%をカバーしていると云う。
これが重症者の実体である。

マスコミはここぞとばかり煽りたて、政府は厳しい対策をした方が支持率が上がると、いつまで経っても二類相当以上から五類への引き下げをせず、製薬会社や国からの補助金の毒饅頭を喰らっている医師は撃て撃てと叫び続けるだけ。
新型コロナ対策、世界で1番愚かなのは、お隣の赤い国旗のカントリーで、2番目はわがジャパン。
どちらも、自分の立場や金のために騒ぎ続けている様は世界の笑い者である。

あの不幸な大戦の夏のごとく、同胞が後ろから鉄砲を撃ちかけて来ている。
全く持って、今日も絶望した〜!

「マスター、先週はお見事でした。やれば出来るじゃないですか。」は、昔風で云うところの一部上場会社、今風に云うならばプライム勤務のK君。
業績も良く何の心配もないのだから、北新地の盆暗とはえらい境遇の違いである。
「まあな、嬉しいのはいつもお世話になっている馬主さんの愛馬で、儲けさせて貰ったって事だ。」
「朝の早い時間で決めて、後は、高みの見物なんて勝負師の鑑ですね。」
「遠慮はいらねえぞ!もっと褒めろ!」
「はい、はい。」
日曜日の朝のお約束、ボヤキ節から解放されてK君もニッコリタンメンである。

「今日はどうしますか?」
「もう一丁!」
「はあ?」
「鈍い奴だな、マジに国立出てんのか?あ〜ん。だからお世話になっている馬主さんの馬で勝負するって云ってんだ。ズバリ!福島メイン『ジュライS』京都馬主協会会員Aさんの愛馬ケンシンコウだ。去年もこのレースを勝っている。夏になるとグングン調子を上げるタイプ。屋根もイマイチの元気からターフのマジシャン裕信だしな。他の馬とは自力が違う、ただし気になる事はある。」

「なんですか?」
「気分屋さんなんだ。虫の居所が悪ぃと押しても、引いてもキチンと走ってくれねえのョ。馬主さんともたまに話しをするが、ゲートが開くまでご機嫌がわからねぇらしいぜ。要は自分との闘いだな。馬券は単勝をおまじないで5千買って、枠の2ー8を大本線で3万、4ー8を1万、1ー8、6ー8、7ー8、8ー8を平に5千。締めて6万と5千で絵にして貰おう。」
「予算オーバーですが。」
「いいんだョ。先週儲かってるし、どうせ当たるんだから。」
「……………..」

新型コロナ騒動、先の不幸な大戦の時のように、周りが敵だらけでは、好きにしてくれと横になるしかないが、ケンシンコウは自分との闘い。
田辺J!エスコート宜しくが北新地の盆暗の切なる願いだ。