北新地競馬交友録

水も漏らさぬように

『皆さん これが最後です。さようなら さようならー。』
痛みを持ってしか聞く事の出来ないラストメッセージ。
ソ連軍の卑劣な攻撃により、1945年8月20日。
恥ずかし目を受ける事を恐れ、樺太の真岡郵便局で電話交換手のうら若き乙女達9人が自決した。
77年が経ち、また、ウクライナで同じような悲劇が繰り返されている。

北海の白熊は、包囲するウクライナ南東部マリウポリについて、セルゲイ・ショイグ国防相から市内を「完全掌握した」との報告を受け、最後の拠点である製鉄所への突入を中止。
「ハエも飛ばさぬように。」との表現で封鎖の継続を指示した。
降伏するか、飢え死にするか、二つに一つ好きにせい!と云う事である。

何年経とうが、卑怯卑劣、騙し討ち。
略奪上等!何でもありのロシア気質はまるで変わっていない。
我がニホリカの民は降伏して、シベリアに連れ去られ、ウクライナの民もまた拉致されていると云う。
「ハエも飛ばさぬように。」、ニホリカ流で云うなら「水も漏らさぬように。」そんなとこであろう。

おい!白熊!云い分がいくらあろうが、おまいはやっちゃいけない事をやっている。
地獄の業火で焼かれろっちゅ〜の。

「豊!遠慮せい!」とシャウトした所がゴール。
『皐月賞』川田Jの2番人気ダノンベルーガが3着に残れば、59.9倍。
武Jの1番人気ドウデュースが3着に突っ込めば41.9倍。
一目2500円買っていて、払い戻しが45000円違ってくるのだから、思わず声が出るのも致し方ない。
とは云うものの、当たりから絶縁状を叩きつけられていたマスターにやっと薄日が差した。

「おう!三宮でシースでも摘むか!」ニッコリタンメンでK君に繋ぎを入れるも、「競馬は毎週あるんです。贅沢は敵ですよ。○原さんも呼んで、マスターの家で手巻き寿司でもやりましょう。」
「へい、へい。どうせお宅のマニーで鉄砲打ったんだから、仰せに従わせていただきマウス。チャイナがゼロコロナなんて狂ったような事をするから需要が減って、あれだけ品薄だったウニが半額になってるんだとよ。払い戻しの10万の出っ張りをカンパすっから一舟買って来てくれ。後は任すわ。おシャンパンも宜しくな。」
相変わらずお金はないのに態度はウルトラ大きいマスターだったのである。

「マスターさん、おはようございます。先週はご馳走様でした。美味しかったです。」は熊本天草出身○原さん。
「いいって事よ。幸せのお裾分けは、ミーの最も得意とするところだからな。チャイナが頗る付きの馬鹿だからウニもお安く食べれたし。それにしても何だ。プーさんは海外のニュース見てねんじゃないか。いまどきゼロコロナなんて狂ってんじゃん。」
僅か4千円しかカンパしていないと云うのに講釈を垂れまくるなんて、さすが北新地の恥知らず、盆暗大将である。

「もう一丁ですね。」
「ああ、今日の『読売マイラーズC』。京都馬主協会のお偉いさんからご紹介されて以来、ご贔屓にしていただいてる馬主さんの愛馬力道山で勝負しようと思っていたが、雨降り止まず。道悪は得意だがこれだけ雨が降ると紛れがあっからな〜。思案ロッポウで迷っているところだがね。」
「力道山てなんですか?」
「たわけ!力道山の得意技はなんなら。」
「……………なるほどですね。」

「単勝に5万と行きたい所だが安全策。枠連で手広く行くか。発表!3ー7が本線で2万、3ー4、3ー5、5ー7を平に1万。ゾロ目3ー3、7ー7をこれまた平に5千でどうだ。」
「どうだって、枠連を6点も買うんですか。流石にもう少し絞った方が。ゾロ目とかいらないでしょう。」
「へ!馬券にいらない買い目なんてねえぞ。何が来たっておかしかないんだ。いいさ、いいさ。笑うがいいさ。」

時事ネタ風に云うならば、「水も漏らさぬように」で枠連の多点張り。
北海の白熊も恥知らずだが、それに負けじ、劣らじの北新地の盆暗。
さて…………..。