『千の風になって』by まさし あきかわ
私のお墓の前で
泣かないでください
そこに私はいません
眠ってなんかいません
千の風に
千の風になって
あの大きな空を
吹きわたっています
秋には光になって
畑にふりそそぐ
冬はダイヤのように
きらめく雪になる
朝は鳥になって
あなたを目覚めさせる
夜は星になって
あなたを見守る
私のお墓の前で
泣かないでください
そこに私はいません
死んでなんかいません
千の風に
千の風になって
あの大きな空を
吹きわたっています
千の風に
千の風になって
あの大きな空を
吹きわたっています
あの大きな空を
吹きわたっています
「この紋所が目に入らぬか!こちらにおわす御方をどなたと心得る!畏れ多くも先の副将軍、水戸光圀公にあらせられるぞ! 一同、御老公の御前である…頭が高いっ!控えおろう。」
「はは~」
コロナ禍における紋所は『命』である。
先の不幸な大戦では、僅か一銭五厘の赤紙でお国のために死んで行いと云われた。
今は何とも幸せな時代なのだ。
「隼人!差し返せ!克駿!遠慮せんかい。」
マスターの悲鳴が響いたのは、先週の日曜日の小倉メイン『門司S』。
単複を買っている吉田Jのソリストサンダーが抜けて楽勝かと思われた刹那、外から強烈な脚で伸びて来たのが、11番人気鮫島Jのクリノフウジン。
交わされて、ワニワニパニックになってしまったのだ。
「マスター、おはようございます。ソリストサンダー強かったですね。ようございました。」は、日本で3番目にオツムの学校を出て、一部上場会社勤務のK君。
「そうよな〜、出し抜けに伸びて来られて、馬体を外から被されたらまずアウト。諦めの早い屋根ならゴメンちゃいだが、さすが変人隼人だ。差し返して助けて貰った。複勝のみのトリガミと、単勝で7万8千入るとじゃ〜上下大きいぜ。」と、朝から珍しくふんぞり返っている。
「今日は中京の『東海S』ですよね?』
『まともなら中京で馬券圏内を外した事のない豊のインティで何にもねえが、土曜日のレースを見ていたが、腰がまだ完璧じゃねえのか、ナギサで勝ったものの今一つピリッとしねえ。単勝2.3程の信頼は置けねえョ。裕信のハヤヤッコや、ウチパクのタイキフェルベール辺りにズバコンで差される危険性がある。かと云って複勝は激安だから保険の掛けようがないしな〜。3連複の軸には最適でも相手を絞らないとお帳面にゃ〜ならねえし。」
「でしたら、中山の『AJCC杯』はどうですか。アリストテレスが鉄板でしょう。」
「馬場さえ良けりゃ〜なんの問題もねえが、極悪馬場での競馬、何があるか判らねえぞ。それよかクロフネが死んだんで、その子が激走するんじゃねえかと睨んでんだ。それに、『武蔵野S』を鼻歌まじりで楽勝したレースは今でもはっきり覚えている。脚さえ無事なら『ドバイワールドカップ』でも、『ブリーダーズカップ』でも勝っていたはずだ。芝と同じ時計でダートを走るようなズンない馬は今後も出ねえだろうョ。」とひとくさり。
「なるほどですね。小倉10R『秋吉台特別』のグッドワードなんていいんじゃないですか。」
「ああ、それも考えたが、一番人気ながら単勝が5.5で紛がありそうだ。中京10R『伊賀S』のメイショウベンガルの方が面白い。おかあちゃんが、キョンシーオトヒメ、おじいちゃんがマーベラスサンデーなのも懐かしいしな。伸び盛りの4歳、3着には康成が持って来るだろう。単勝に1万、複勝4万に構えてみっか。」と結論付けた。
命あるものは、すべからくいつか死ぬ。
少しばかりセンチになったマスターだが……..さて。