北新地競馬交友録

世界旅行者

『泰平の 眠りを覚ます 上喜撰 たった四杯で 夜も眠れず』

江戸時代、鎖国をしていた我がJAPAN。
ペリーが黒船に乗ってやって来て、花のお江戸は上へ下への大騒ぎ。
その際の世情を表した狂歌である。

新型コロナウイルス禍で、令和の鎖国を敢行していた政府が、外国人の新規入国を10月から本格的に再開すると発表した。
感染拡大を防ぐため、感染の有無の検査が可能な、1日1000人程度を上限とするとか。
国内で流行っている新型コロナウイルスは、チイとも怖くはないが、海外由来には要注意。
ゲノムの検証とかはやっているのであろうか?

前のめりな政府は既に、外国人の再入国を一部解禁しているが、新規入国はタイやベトナムなど8か国・地域のビジネス関係者の一部に限定していた。
10月以降は、これらの国・地域以外からの新規入国も認める。
更に、留学生の入国は全面再開すると云うのだ。


観光客が来日出来れるようになるのは、いつの事か不明だが、こちらからも海外に行くこと能わず。
この年になると、フライト時間が長い、海外旅行などをしたいとは露とも思わなかったが、行けないとなると、死ぬまでに一度は行きたい。
そんな気分にさせられる昨今。

ワイキキビーチをアイスを舐め舐め歩いていたなんて、遠い昔の話しなのである。

「マスター、おはようございます。」は、日本で3番目にオツムのいい学校を出て、ボーナス満額支給、堂々一部上場企業勤務のK君。
「明けない夜はない。止まない雨はないと云うが、あれは真っ赤な嘘だな。3日間開催月曜日の『浦安特別』、またまたハズレたぜ、2.8倍単勝1番人気、皇成のアストロブレイクがドンベ。16頭立ての16着。ドンベだぜドンベ。こったらもん当てようたって普通当たらねえ。日曜日だったかミモザゴールも逃げて、被せられてのボロ負け。同じレースしてやられてんだから、皇成の野郎許せねえぞ。全国1000万の馬券愛好家は怒ってんだ。別嬪の嫁をグラビア復帰でもさせて、水着で土下座させいちゅ〜の。」と、朝からボヤキに余念がない。

「今日は『神戸新聞杯』ですよね。
「ああ、中京で走る『神戸新聞杯』なんて変な感じだが、プリンスのコントレイルが勝つのは間違いねえだろう。もし2着にでもなろうもんなら、国会前にデモ隊が押しかける。問題は相手ョ、ディープボンドかなって気もするが、そりゃ〜あまりにも出来過ぎだろう。中京の2200は外枠が有利、ならば必殺仕事人謙一のヴェルトライゼンデ。名前の意味知ってるか?」
「ドイツ語で世界旅行者でしょ。」
「へい!ユー!マジカル感じ悪ぃな。いい死に方しねえぞ。俺なんてJRAの名前由来を見て初めて知ったっちゅ〜のに。」
「第二外国語で取ってましたから、それだけですよ。」
「はい、はい。頭のいい事で、恐れ入谷の鬼子母神でございます。発表!ワイド一点5万。これがハズレたら当分競馬とはオサラバだ。」
「マスター、出来ない事は云わない方が。」
「シャラップ!」
「英語ですね。」
「………………当然ョ!」

世界旅行者は結構だが、新型コロナウイルス禍で、個人旅行はまだご法度なんてオチにならなければいいのだが……….さて。