北新地競馬交友録

当てにならぬ

世界の歴史の中で、最大の市街戦と云えば、先の不幸な大戦で、ちょび髭ヒットラーとカイゼル髭スターリンが、死力を尽くしてバトルした『スターリングラード攻防戦』。
ちょび髭側の死者が約85万人、カイゼル髭側が約120万人、合わせて200万人超。
街は瓦礫の山と化し、開戦前に60万人を数えた住民が終結時点でおよそ9800人しか生き残れなかった云うのだから、いかに激戦だったかが判る。
60万人近くの住民が死んでも降伏しなかったロシア民族の魂の有り様を、あのトルストイは『白銀公爵』の中で、「望みなき無限の憂愁もあれば、不屈の力もある。また運命の刻印、鉄のごとき宿命もあるのだ。」と書いているが、どうにも人間様の命の扱いが軽い。

そんなロシアが、この新型コロナウイルス禍で、ワクチン開発に一番乗りを果たした。
名付けて『スプートニクV』。
1957年に米国に先駆けて打ち上げた、人工衛星『スプートニクス1号』と引っ掛けているのであろう。
それにしてもである、臨床試験の第3段階が完了する前に「やっちえニッサ○ならぬ、やっちえロシア。」
いくら生物化学兵器の開発で、ウイルスや細菌に対する研究の積み重ねがあるとしてもである。
我が日本では、英国のアストラゼネカとオックスフォード大学とが共同開発している新型ウイルスワクチンの治験が、中止だ、いや再開だと大騒ぎになっているが………….。
反体制トップの暗殺未遂なんて、剣呑な噂もあるプーチン閣下が統治する国。
命の重みを感じられないそのロシア、信じられないなるなりである。

「マスターさん、おはようございます。生きてますか?」は、熊本天草出身の○原さん。
「死んでるョ。すでにお前は死んでいるのケンシロウだ。先週の小倉最終はなんなら!せっかく裸馬、楓真のスマートアリエルがブッチギリで勝ったのに、2着が15番人気小崎の小倅のスナークダヴィンチ、3着が11番人気竜二のラヴォアドゥース。買える訳なかろうもん。あんな馬券を取った奴は、これから悪い事が5年は続くだろう。うん間違いねえ。」
「怒らないでくださいね。K君がマスターさんに貸しが……..ほやいてましたが。」
「たわけ!いつの話しだ。金曜日にビシッと200振り込んでるちゅ〜の。」
「さすがマスターさん、懐が深いです。」
「てめーは、マジと冗談の区別も付かないのか。20に決まってるだろう。そんなマニーがあったら、馬券なんて買ってねえョ!」

「………………申し訳ございませんでした。気を取り直して、今日は当ててください。」
「わざわざ云われなくてもモチのロンだがね。発表!中京最終!枠連ボックス。ジェントル幸のメイショウベンガルにメイチ気があるが、抜けて強いってとこまでは行かねえ。内から、克駿のオーラテソーロの2枠、啓介スリーグランドの6枠、弘平のイメル8枠を、メイショウベンガルの5枠とで変則ボックス6点張り。2ー5、5ー6、5ー8を各1万。元取りで6ー8を1万、2ー6、2ー8を各5千。俺ぁ怒ってんだ!」
「?????」
マスター、競馬はロシアのワクチン並みに当てにならぬと、恥を忍んでの枠連ボックスだが…………さて。