女子テニスの大坂なおみちゃんが昨年、3740万ドル(約40億2000万円)の収入を獲得し、女子アスリートとして歴代最高の高給取りになったことが分かった。
「端数の2千だけでもくれ!」なんて云いたくなるぐらいのズンナイ金額である。
住んでいるのはUSAでも、出身は大阪市中央区。
日本語は幼稚園児並みにしか話せないが、立派な日本人である。
「こったら娘がいたら、1レース一千万ぐれぇは楽勝で張れるじゃん。」とマスター。
最強の孝行娘なのである。
「横典!差せ!頼む!」と、マスターが両手拝みの『ヴィクトリアマイル』。
1着ルメールJのアーモンドアイ、2着松山Jのサウンドキアラで馬連は的中でも、三浦Jのトロワゼトワルが3着に残ると3連複がゴミになるとあって、日頃「趣味で馬に跨ってやがる。あんなの奴の馬券は買いたくねえョ。」とこき下ろしている横山Jに全力の声援。
ゴール前、辛うじてノームコアが3着に上がりホッと胸を撫で下ろした。
50000円買って85450円の払い戻しだから、大騒ぎする程の事はないが、何せ4週連続ヤラレコレ。
新型コロナウイルスお見舞い金をまだ1回も貰って無いのに、「2回目はいつになる?」と競馬友達のK君に聞く始末なのだから助かりだ。
レース後、神戸の三ノ宮に集合で久しぶりに馴染みの寿司屋へ。
ここで一悶着あった。
「かんぴょ巻きください。」
「たまごを」
熊本天草出身○原さんと、競馬友達のK君がやたら安いネタばかりを注文。
「なんなら?もちっと高いネタ行かんかい。」
「いえ、充分です。そんなに儲かってませんし。」
「そうですよ!なんせマスターさん店が休業で無収入なんですから。」
これにはマスターが切れた。
「馬鹿野郎!テメー達俺に恥かかす気か。そうかい、そうかい。新型コロナだろうが、一銭も給料や年金が減らないお二人さんより、俺は下の人間って事かい。気分悪ぃ帰る!」
席を立ったマスターを宥めたのは、寿司屋の大将。
「気を使ってくれてるんですよ。怒るんじゃなくて、喜ばないと。なかなかこんな友達はいませんよ。座って、座って。」
すかさず○原さんが、「マスターさん失礼しました。お言葉に甘えて、アワビとウニをあてで、冷酒も宜しく。」
「握りでトロと煮穴子、あ、かずの子もお願いします。」とK君。
「…………………….」
後は高い順に頼んでいるんじゃないかと思うぐらいの事態に相成った。
支払いが38800円で馬券の儲けが吹っ飛んだマスター。
「人間、どこに不幸が転がってるか判ったもんじゃねえな。」とぶつくさ。
それを見てK君がサラッと20000円をカンパ。
意地で断るかと思いきや、「ありがとョ」なんだから、大した人間でない事が証明されたのが先週の日曜日の話しだ。
「マスターさん、おはようございます。先週はご馳走様でした。」と○原さん。
「おう!いいって事ョ。今日も当てて神戸ビーフでも食いに行くか。何でも需要激減で値崩れを起こしてるらしいぜ。まあ、今までが高過ぎたんだけどな。もう『オークス』か、時間が経つのは早いぜ。営業自粛でもう2か月ョ。この2か月の記憶が競馬以外はなんもねえんだもん。俺とこみたいな稼業が解除されるのは後1か月はかかるだろう。先の不幸な大戦で云うならA級戦犯だもんな。」と朝からいい泣きが入っている。
「馬券はどのように?」
「どのようにって、『桜花賞』見ただろう、若武者弘平のデアリングタクトしかないじゃん。2戦2勝レーンのデゼルも人気だが、枠はいいとしても短期間での長距離輸送がどうかな。歴戦の古馬ならともかく、3歳のお嬢ちゃんじゃ〜堪えるじゃねえか。後はどの馬が来てもおかしくないぐらいの混戦。先週に味をしめて3連複で勝負したいところだが、無理はダチカンだろう。
デアリングタクトの単勝は1.8か。こりゃ〜単複、馬単もダメだ。相手を手広く枠連で行こう。本線が1ー2で2万と5千、2ー8に1万、2ー3、2ー4、2ー5に各5千でどうだ。」と結論付けた。
どれが来ても大して儲からない、赤面するぐらいのバンドヒット狙いだが、今年の『オークス』はこれでいいらしい。
マスター、馬主のクラブのボス岡田牧雄さんにとっては、大坂なおみちゃんばりの孝行娘になるはずと、デアリングタクトを信じての流し馬券のようだが……..さて。