北新地競馬交友録

今日でお別れ

『エースのジョー』の通り名、名バイプレイヤーとして活躍した宍戸錠が亡くなった。
と云っても『エースのジョー』の時はまだキッズでリアルには知らない。
宍戸錠を知ったのは、日本シネマ不朽の名作『仁義なき戦い』完結編。
役柄は大友勝利で、「わしゃ〜虫歯を抜くんも、人を殺すんも同んなじなんでぇ」と、広島弁で故松方弘樹に嘯くシーンが記憶に残っている。
享年86歳、晩年は孤独だったようである。

同じ86歳の芸能人をググってみると、やはり現役で活躍している人は非常に少ない。
その中では、テレビ東京の『日本の歌スペシャル』や、NHKの爺婆がターゲットの歌番組になると、必ず出でくるのが菅原洋一だ。
デビューが1958年と云うのだから、かれこれ60年以上歌い続けている。
更に凄いのが、『知りたくないの』『忘れな草をあなたに』そして大ヒットを飛ばした『今日でお別れ』ほぼ、この3曲で60年凌いでいるのだから只者ではない。

『今日でお別れ』by ヨウイチ スガワラ

今日でお別れねもう逢えない
涙を見せずにいたいけれど
信じられないのそのひとこと
あの甘い言葉を
ささやいたあなたが
突然さようなら言えるなんて

最後のタバコに火をつけましょう
曲ったネクタイなおさせてね
あなたの背広や身のまわりに
やさしく気を配る
胸はずむ仕事は
これからどなたがするのかしら

今日でお別れねもう逢えない
あなたも涙を見せてほしい
何も云わないで気安めなど
こみあげる涙はこみあげる涙は
言葉にならないさようなら
さようなら

「マスター、おはようございます。サンバパレードどうしちゃったんでしょうね。単勝2.0で3着もないなんて。」は、競馬友達のK君。
「まったくだぜ、あれはねえよな、あれは。土曜日はいつも小張りにしてるが、自信満々サロン満で5万も奮発したのにョ。直線半ば外から被されて失速した時は急に悪寒が。新型コロナウイルスにやられちまったかと思ったぜ。しかもだぜ、8R、4番人気のサウンドテーブルを2着に持って来て、1番人気、淳也のグッドヘルスバイオと、2番人気、菜七子のヤマニンマヒアが5着、4着に吹っ飛んで、3番人気大成と優也の馬連で1800もついてやがんの。こっちならこっちと云え!てぇの」といい泣きが入っている。

「今週の予算は後5万円しかありませんね。」
「あ の な、キミ5万円なんて気楽に云うけど、普通のサラリーマンの1か月の小遣いだぞ。新型コロナウイルスのせいで、株で馬鹿でも儲かったアベノミクスも終了。もう外資を導入しようにも持って来る先がねえ。これからは一戦必勝で馬券を買わねえと、それこそ空き缶拾いをする羽目になる。」
「そうですね。うちも景気の見通しが悪いですから今年は厳しそうです。もうマスターに去年みたいにご馳走出来ません。しっかり当ててください。」
「へ!ご馳走たって、食べ放題の温野○バッカじゃねえか。当てますョ!ええ、当てますとも。」

「宜しくお願いします。で、狙いはどのレースですか?」
「レースじゃねえ。マーフィーだ天才マーフィー。今日で短期免許が切れるから、アイルランドかどっかに帰んじゃねえの。年明けから昨日までで、ニャンと!25勝だぜ。どんだけオゼゼ持って帰るんだちゅう〜の。混戦の『根岸S』だが、菜七子から乗り替わりコパノキッキングの前売りが単勝で1.9。3着以内ならまず来るだろうが、ナンボ何でも過剰人気だろう。発表!コパノキッキング一頭軸3連単マルチ。相手内から栄彦のテーオージーニアス、デムーロのミッキーワイルド、横ノリのワンダーリーデル、プリンスのワイドファラオ、脩のスマートアヴァロン、ルメールのモズアスコット、裕信のダノンフェイスまで。相手7頭126点張り一目4百。取りガミがモリモリ森昌子ってか、それが怖ぇなら3連単なんてハナから買うな!て事ョ。それよかドリームキラリが難儀だ。瑠星が大外何するものぞ!で渾身の逃げを打ったら、渋といから3着以内ならある。バット!流石にこれ以上点数は………見切るしかねえだろう。」と結論付けた。

どうにも焼けのヤンパチ日焼けの茄子にしか思えないが、『今日でお別れ』天才マーフィーに全てを託したマスターなのである。