『おてつたび』ニャンとも!聞きなれない言葉だが…………。
人手が足りない施設や地域と、気軽に旅をしたい人とをつなぐマッチングサービスの事だそうな。
交通費無料、宿泊費も無料、さらに街まで活性化される新たな旅の形。
ある大学生の場合、博多港からフェリーに乗り、向かった先は長崎県の壱岐。
午前中は、掃除や配膳、畑に食材を収穫しに行くなど旅館の手伝いをするが、昼間は自由時間。
遊覧船に乗ったり、有名な小島神社をお訪れたりして観光を楽しむ。
そして、夕方からは、再び夕食の支度や配膳などの手伝いを行い、旅と手伝いを両立させると云う訳である。
『おてつたび』の一番の特徴は旅費がかからないこと。
この大学生は、旅館の従業員宿舎に泊めてもらったので、宿泊費は無料。
まかないが3食出るため、食費もかからない。
さらに、旅館から大学生に4万5000円が支給され、それを壱岐までの交通費や観光費用に当てたと云う。
組み合わせ一つで、こんな旅が出来るとは、考えた人のオツムの柔軟さが素晴らしいなるなりである。
「マスターさん、おはようございます。10月だと云うのに暑くて変な気候ですね。」
「ああ、なしてこの時期に汗をかかなきゃいけね〜んだと頭に来るが、文句を云って行く先もねえから、諦めましたあなたの事は〜の研ナオコだ。」
「今日はどのレースで?」
「実は、お世話になっている京都馬主協会会員さんの愛馬が出るんで、淀に今から向かう。」
「そりゃ〜ご苦労なこって。」
「まあな。バット!こんな事でもなきゃ〜最近無精になってウインズばっか。競馬場に行く事ぁねえから、たまにはいいんじゃないの。馬券は京都の1Rだ。プリンスのノクターンノーツと、スグルちゃんのフラミンゴフライトが売れているが、一等強いのはジェントル幸のエターナリーじゃねえかな。これを逆転出来るとしたら、友君のオウケンラブキセキと、竜二が手綱を取る京都馬主協会会員さんの愛馬マサハヤアンだろう。」
「馬券はどのように?」
「まずは枠連6ー7を1万、6ー6のゾロ目を5千。してから日頃のご愛顧に感謝の気持ちでマサハヤアンの単勝を5千。前目で決まればこれでお帳面のレースだ。1番いいのはマサハヤアンが勝って、2着にオウケンラブキセキだな。6ー6なら15倍は付くはずョ。」
「見切った枠の1ー3で決まったりして。よく有りますからね、そう云うパターンが。」
「くぬ野郎!睡眠もそこそこに淀まで出張る俺に喧嘩売ってんのか。あ〜ん。いい度胸してんじゃん。いや〜立派、立派。」
「滅相もない!緑来い!緑来い!と応援させていただきます。」
「最初からそう云ぇってんだ。」
「…………….失礼致しました。」
単勝と枠連の組み合わせで、『おてつたび』みたいにいい目に会おうと目論むマスターだが……………さて。